2020年4月25日土曜日

初夏へ : 花彩り、青葉繁り

気分転換に、カメラを持って散歩してきました。桜から花水木へ、若葉・青葉へ、自然はたんたんと移り変わっていました。


1.花水木(ハナミズキ)
桜は、さすがに八重桜も終わり、代わって、花水木が、あちこちで咲いている。
ハナミズキは、その歴史を紐解くと、1912年当時の東京市長尾崎行雄がアメリカにサクラ(ソメイヨシノ)を贈り、その返礼として1915年にハナミズキ(白花種40本)が寄贈されたのが始まりとされている。さらに2年後には赤花種20本が贈られてきた。その原木は、日比谷公園などにあったが、いまは都立園芸高校に1本あるのみだそうだ。
今や、庭木のシンボルツリーとして植えられたり、街路樹としても東京では一番多いといわれている。
4枚の花びらのように見えるのは、花弁ではなく花を包んでいる総苞片と呼ばれる。
ハナミズキ

ハナミズキ

ハナミズキ

ハナミズキ

ハナミズキ

ハナミズキ


ハナミズキ

ハナミズキ

ハナミズキ

ハナミズキ・白花

ハナミズキ・総苞片


ハナミズキ・総苞片

2.藤(フジ)
フジには、つるが右巻きと左巻きの2種類があり、植物学者牧野富太郎により、つるが右巻きのフジを「ノダフジ」、左巻きのフジを「ヤマフジ」と命名されている。
関東では、「あしかがフラワーパーク」の大藤(樹齢年130年を移植)が、よく知られている。東京では、亀戸天神の藤が境内を藤色に染める。関西では、藤原氏の氏社として創建された春日大社に「砂ずりの藤」と呼ばれる樹齢800年という大木がある。
フジ棚





フジとツツジ

3.躑躅(ツツジ)
ツツジやサツキは、公園や道路の植え込みにもよく使われている。シャクナゲもツツジ属であるが、ドウダンツツジはツツジ属に含まれないツツジ科である。園芸品種としてミヤマキリシマ、クルメツツジ、ヒラドツツジなど美しい花を付けるものが多くある。
京都の詩仙堂の刈り込まれたツツジ、は庭園の美しさを際立たせている。東京では、根津神社には約2000坪のつつじ苑があり、つつじ祭りが行われるなど、よく知られている。
 
ツツジ




ツツジ

ツツジ・西武線東伏見

ツツジ・西武線東伏見

シャクナゲ

ドウダンツツジ

4.薔薇(バラ)
バラというと、色とりどりの美しい西洋バラを浮かべるが、日本はバラの自生地として世界的に知られているそうだ。ノイバラ、テリハラノイバラ、ハマナシは日本原産。
ノイバラは、とげが多い木であることから、茨(イバラ)と呼んでいて、野生であることから「野イバラ」となった。「野ばら」とも呼ばれて親しまれている。
モッコウバラは、中国原産で、枝にはとげがないことから扱いやすく、アーチやフェンスなどにも用いられている。黄色の八重咲きの花をいっぱいつけるので、素晴らしい飾りになっている。



モッコウバラ

モッコウバラ

ノイバラ

ノイバラ

ノイバラ

ヤマブキ


アセビ

シャクヤク

シャクヤク

シャクヤク


5.ネモフィラと園芸種
ネモフィラは、その茎が横に広がり、淡いブルーの色の絨毯を敷くようになることから公園などでよく見られるようになった。ひたち海浜公園(茨城)は広大な敷地に一面のネモフィラを植え、一躍有名になった。東京では、昭和記念公園のネモフィラ畑も良く知られている。
こうしたかわいい園芸種の花は、家の玄関先や庭の片隅などにもよく見られる。
ネモフィラ

ネモフィラ

ネモフィラ






アイリス

6.タンポポ・雑草
道をよく見ながら歩くと、タンポポなどの雑草を見つけることができる。多くの植物の命名を行った牧野富太郎は、「雑草という名の植物はない」と言っているが・・・。
よく知られているようにタンポポには、日本古来のタンポポと外来種のセイヨウタンポポがあり、都会で見られるのは、ほとんどセイヨウタンポポとなっている。
しかし、2種類のタンポポにはそれぞれの生存戦略があるようだ。セイヨウタンポポは他の個体と花粉を交配しなくとも種子を作りことができるため繁殖力が強いが、相対的に種子が小さく芽生えのサイズも小さくなるため、他の植物との競争には不利という弱点を持っている。そのため、都会の隅地のように他の植物が生えないようなところでは生育できるものの、豊かな自然環境のなかでは生存が難しくなる。
一方、在来種は種子の数は少ないが、大きめの種をつくる戦略をとり、風に飛ばされた種は秋になるまで発芽しない性質を持っている。春になって開花し、夏草が生い茂る前に種を飛ばし、自らの葉は枯らして休眠状態(夏眠)になり、秋に再び葉を拡げ越冬するという日本の自然環境に合せた生存戦力をもっている。たしかに都会では見ることが少なくなってはいるが、セイヨウタンポポに駆逐されてしまったということではないようだ。
 
セイヨウタンポポ

セイヨウタンポポ


コバンソウ

7.若葉・青葉
武蔵関公園のモミジは一段と緑を濃くして生い茂ってきている。太陽の光を浴び、若々しく、清々しい姿を池に映していた。
自宅の前には、キンキャラ(キャラボクの園芸種)を植えているが、この時期、名前の通り若葉が黄金色に輝いてくる。
ハクチョウゲ(白丁花)は小さな丁字型の白い花をたくさん付けることから、その名が付いている。盆栽でも育てられている。
 
青モミジ

青モミジ

青モミジとカモ

クロマツのロウソク芽

紫モクレン

キンキャラの若葉

キンキャラ

ハクチョウゲの若葉

ハクチョウゲとカタバミ

8.天祖若宮八幡宮
いつもの散歩コースである武蔵関公園から少し足をのばしてみたら、神社に行き当たった。天祖若宮八幡宮という。近くにありながら、来たことはなかった。
調べてみると、若宮八幡宮は、奈良時代に武蔵関塞(かんさい、関所の始まり)が設けられたとき、関塞守護神として祀られたと伝えられる。関塞が廃止されたのち、長い歳月を経て慶長年間には関村の村民の氏神となったという。また、天祖神社は、「三十番神、村の鎮守で、本立寺の持」ちものとされており、「番神さま」と呼ばれていた。明治維新の神仏分離により天祖神社と改称された。昭和49年に関村の氏神、若宮八幡宮と天祖神社が合祀され「天祖若宮八幡宮」となったという。
なお、「三十番神」とは神仏習合の信仰で、毎日交替(月の日数30日)で、国や民を守護するとされた30柱の神々をいう。明治政府によって神仏分離により配祀を禁じられた。
今もこの辺りの地名は、練馬区関町となっていて、近くの西武線の駅名は武蔵関である。ここに樹々に覆われた村の鎮守がひっそりと残っているとは。
 
天祖若宮八幡宮・鳥居・ヤマブキ

天祖若宮八幡宮・参道・ツツジ

天祖若宮八幡宮・二の鳥居

天祖若宮八幡宮・ツバキ

天祖若宮八幡宮・社殿

天祖若宮八幡宮・境内社

イチョウ・天祖若宮八幡宮

カメラを持って散歩すると、色とりどりの花々、そして青葉・若葉の緑の美しさに引き込まれ、何枚もシャッターを切ることになる。季節は春から夏へと向かっていた。自然は何事もなかったように、たんたんと移り変わっている。
名前も分からない花も多いが、知っている植物についても調べてみると、知らなかったことで、いろいろ興味深いものがあるのに気づく。それにしても、花の名、木の名前が出てこないことが多くなってしまった。以前はすっと答えられたのに・・・。何とか思い出して、あーそうだ、と。(備忘録のように今回のブログには書きこんでおく)
今回の散歩では、こんな近くに神社、もともとは村の鎮守であった、天祖若宮八幡宮に出会うことができた。調べてみると地元の歴史が垣間見えるような気がした。

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