2026年5月30日土曜日

東京異空間429:樹と空と

 


先に、東京国立近代美術館で観た《樹を見上げて》日高理恵子についてブログにまとめましたが、その延長で、自分でも「樹を見上げて空を見る」というテーマをもって撮ってみました。

(参照):

東京異空間427:《樹を見上げて》日高理恵子2026/5/22

1.「空と樹と」

まず、日高理恵子の次のような言葉を引用しておく。

「樹の下で真上を見上げる。私と近い距離の枝、遠い距離の枝、そして向こうに空がある。自分の目で見、見極めようとしても見極められない部分、測りしれない部分がそこにはあった」

この言葉通り、日高の作品のシリーズは「樹を見上げて」→「樹の空間から」→ 「空との距離」 と深化している。

また、彼女の絵に言葉を寄せた作品として、詩人の長田弘と共著した詩画集『空と樹』(エクリ刊)がある。この本では「樹を見ることは樹を見上げることだった」という言葉(長田弘による編)とともに、日高理恵子が描く樹と光の空間が美しく表現されている。この本は日高理恵子の作品集ともいえる。

(参考):

『空と樹と』長田弘 画・日高理恵子 エクリ 2007

2.「樹と空と」

日高は、「写真のレンズを通した空間」を徹底的に拒絶するが、たしかに写真と絵画では、まずその熱量が違う。写真では、シャッターを押すだけで、樹を見上げることができるし、また空も写る。

しかし、写真を撮るという行為においても、樹の下から見上げれば、樹の枝の先に空が見えるし、またそこに風を感じ、葉に当たる光、さらには季節も、周りの風景も感じられる。そんな写真を何枚か撮ってみた。

(1)午前中に撮影















トンボが写り込んでいた





(2)夕方近くに撮影


























2026年5月29日金曜日

東京異空間428:梅雨の花~立葵、紫陽花など

 


2週間ほど前に「もうすぐアジサイ」として咲き始めのアジサイを取り上げましたが、いまは、あちこちでいろいろなアジサイが咲いています。。そろそろ梅雨入りでしょうか。梅雨の花といえばアジサイが代表的ですが、ほかにも立葵(タイアオイ)や空木(ウツギ)など、梅雨とかかわりが深い花を撮ってみました。そうした梅雨の花とともに、 もうひとつ、ちょっと変わった花が咲いていました。シャグマユリ(赤熊百合)というようです。この花も梅雨のころに咲き始めるようです。

(参照):

東京異空間423:もうすぐアジサイ2026/5/16

1.紫陽花(アジサイ)

アジサイが開花し始めると「本格的な梅雨に入った」と実感する目安にされています。

「紫陽花」という漢字を書くようになったのは平安時代。平安時代の学者である源順(みなもとのしたごう)が、中国の詩人・白居易(白楽天)の詩に登場する「紫陽花」という別の未知の花を、「これは日本の植物(アジサイ)のことだ」と思い込んで辞書に載せてしまいました。実際には全く別の花(ライラックの一種など諸説あり)を指していましたが、この美しい漢字の並びが日本人の感性にマッチし、定着したため「千年の誤用」とも呼ばれています。

















カシワバアジサイ






アナベル



黄色い花はキンシバイ




2.立葵(タチアオイ)

アジサイが雨の重みで少しうつむき加減に咲くのとは対照的に、タチアオイは2メートル以上にもなる茎を空に向かって堂々と伸ばします。花は、梅雨に入ると下から順に咲き上がり、一番上の花が咲くと梅雨が明けると言われます。アジサイが梅雨の「雨」そのものを楽しむ花なら、タチアオイは梅雨の「時の経過」を教えてくれる花と言えます。

タチアオイの花言葉は、どんよりとした梅雨空に向かって力強く伸びていく姿から、「野心」、「大望」、「豊かな実り」といったポジティブな言葉がつけられています。









3.空木(ウツギ)

旧暦の4月(卯月)に咲く白い花で、この花が咲く頃に長雨が続くことから「卯の花くだし」(卯の花を腐らせるほどの長雨)という言葉も残されています。かつてはウツギの花の咲き具合や長さを基準にして、その年の稲の豊凶を占う農耕の指標にされていたといいます。梅雨の走りとともに咲き、本格的な雨のシーズンで花を散らす姿は、季節の移り変わりを象徴しています

ウツギの花言葉は、「秘密」(ウツギの茎や枝の中心部が、空洞になっている)、 「古風」「風情」(初夏に控えめで上品な白い小花を咲かせる、奥ゆかしい姿)、 「乙女の香り」(ウツギの花が咲く時期に、田植えをする女性(早乙女)が多く見られた)となっています。 





3.赤熊百合(シャグマユリ)

赤熊百合(シャグマユリ)の名は、燃えるような花穂が、武士の兜の飾りに使われた「赤熊(しゃぐま)」と呼ばれる赤く染めたヤクの尾の毛に似ていることに由来します。一般的には「トリトマ」という名前で広く親しまれています。トリトマは、南アフリカ原産の多年草で、燃え盛るたいまつのように見えることから、英名では「トーチリリー(Torch Lily)」と呼ばれています。

つぼみの頃はオレンジ色(または赤)ですが、下から開花するにつれて黄色へと変化するため、美しいグラデーションになります。 梅雨入りの時期と開花期が重なるため、どんよりとした梅雨空を明るく彩る花といえます。

トリトマの花言葉は「恋するつらさ」「あなたを思うと胸が痛む」とあります。









4.南天(ナンテン)

南天は「難を転ずる」という語呂合わせから、厄除けや縁起木として家の鬼門などに植えられています。その花は、この時期に咲かせ、約半年後の冬に赤い実をつけます。しかし、開花期が梅雨と重なるため、長雨に打たれすぎると花粉が流されたり、湿気で受粉がうまくいかず実の付きが悪くなってしまうことがあるそうです。

なお、「南天の花」は夏の季語であり、 「南天の実」は冬の季語となります。また、南天の花言葉は、 「私の愛は増すばかり」「良い家庭」と縁起の良い言葉になっています。






5.紫式部(ムラサキシキブ)

南天が花よりも赤い実のほうがよく知られているのと同じように、紫式部(ムラサキシキブ)も、花よりも紫色の実のほうがよく知られていますが、その花は、やはり今の時期に咲きます。ムラサキシキブは、梅雨の雨をたっぷりと吸い上げて小さな花を咲かせ、それが秋に美しい紫色の実を結ぶための大切な準備期間となっています。

紫式部(ムラサキシキブ)の名前は、源氏物語の作者である平安時代の女流作家「紫式部」に由来しています。この名前は、秋につける美しい紫色の実が、まるで紫の衣服をまとった高貴な貴族女性を連想させることから名付けられたとされています。

そのことから花言葉は、「聡明」(紫式部は才女といわれる)、「上品」(秋に美しく色づく紫色の実の印象)、「愛され上手」(主人公・光源氏との物語から)となっています。


6.フェイジョア

フェイジョアは、南米原産で、1980年代に「キウイフルーツ」が日本で導入され大ブームとなった際、同じ時期に輸入・栽培が試みられましたが、消費者の注目を集めきれませんでした。その理由の一つは栽培における受粉の難しさがあるということです。

フェイジョアの開花時期は、梅雨の時期とちょうど重なるため、受粉において大きな障害が生じます。雨によって、花粉が水で洗い流されたり、また本来、昆虫によって花粉が運ばれることで受粉しますが、梅雨の時期は昆虫の活動が鈍くなることなどから、手作業での人工授粉がほぼ必須となります。

そうした栽培の難しさに加え、果実は傷みやすい、日持ちもしないことから流通の難しさがあり、また、何よりも味覚がパイナップルやバナナ等よりも好まれなっかったとされ、現在まであまり普及していません。むしろ、可愛い花をつけることから庭木などで植えられるようになっています。

花言葉も、「情熱に燃える心」(長くエキゾチックなおしべが燃えているように見える)、「実りある人生」「豊穣」(秋になるとパイナップルやバナナに似た甘い芳香を放つ、たくさんの果実を実らせる)といったことから、結婚祝いや開店祝い、新しい門出のプレゼントにも非常に適した樹木とされます。




東京異空間429:樹と空と

  先に、東京国立近代美術館で観た《樹を見上げて》日高理恵子についてブログにまとめましたが、その延長で、自分でも「樹を見上げて空を見る」というテーマをもって撮ってみました。 (参照): 東京異空間 427 :《樹を見上げて》日高理恵子 ( 2026/5/22 ) 1.「空...

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