2023年3月29日水曜日

東京異空間88:武蔵関公園と井頭公園(白子川)の桜

 

武蔵関公園の桜

桜も満開を過ぎ、そろそろ散り始めました。あいにくと天気のほうが菜種梅雨ということで雨の日が多く、青空のもとでの桜を撮るわけにはいきませんでした。それでも、この時期、近くの公園に出かけ、桜を観て来ました。

1.武蔵関公園の桜

武蔵関公園は、大正時代に、近くにある若宮神社から名付けた若宮遊園として遊具やボート場を備えて開園した。昭和10年(1935)には、東京市が進める公園整備事業の一つとなり、「武蔵公園」として整備された。その後、東京市立公園を経て昭和50年 (1975)に練馬区立の公園となった。

武蔵関の「関」とは、室町時代にさかのぼり、この地域を支配していた豊島氏の居城石神井城の関所をこの地に置いたことに由来する。

公園の4割を占めているのが富士見池で、石神井公園、井の頭公園、善福寺公園の池と同じく武蔵野台地の湧水などによってできている。富士見池はかつては「関の溜井」と呼ばれ、溜井という灌漑用水をためておく場所であった。

いまは、公園に沿って流れる石神井川の一部が引き込まれており、大雨などの際には富士見池が遊水池(富士見池調節池)の役割を果たしている。

いまも富士見池では、ボート遊びができ、また池畔にやってくるカワセミなどの野鳥を眺めることができる。池の周囲には桜が植えられ、池の水面側にせり出すように枝を伸ばして咲いている。









富士見池

富士見池

池面にせり出す桜の枝




ハト

ヒヨドリ

八重桜

八重桜

八重桜

散り始め

そろそろ散り始め

水面の花びら


2.井頭(いがしら)公園の桜

白子川の源流に大泉井頭公園がある。「井頭」と書くので「井の頭」と間違えやすいが、こちらは「井頭」と読む。また、練馬区を流れる川は石神井川、江古田川などがあるが、大雨で洪水警報が出るのは、この白子川である。

白子川は、大泉井頭(いがしら)公園から始まり、大泉学園など練馬区を通り、埼玉県和光市、板橋区成増などを流れ荒川水系新河岸川に合流する約10㎞の一級河川である。ほとんどの流域が覆われているが、かつての白子川の流路が東京都と埼玉県の県境となっている。

源流である大泉井頭公園は古保もたちの水遊びの場ともなっている。桜は、公園と白子川の脇に何本か植えられている。また、井頭橋のたもとには「ねりまの名木」に指定されている「マルバヤナギ」の大木が2株ある。(これについては、拙ブログ2021/10/09で取り上げている)

白子川の源流である大泉井頭公園

井頭公園の桜

井頭公園の桜

白子川の桜

川沿いの桜


近くにある南大泉図書館の桜

近くの二つの公園の桜を観て来ました。ちょうど満開の桜を楽しむことが出来ました。このあと、もうひとつ石神井公園の桜も観に行ってきました。

2023年3月28日火曜日

東京異空間87:山本有三記念館

 

山本有三記念館正面入口(左下隅に写っているのが路傍の石)

井の頭公園を出て、三鷹駅に向かう途中に、山本有三記念館があります。山本有三といえば『路傍の石』が代表作として知られています。

山本有三が昭和11年(1936)から昭和21年(1946)まで住んだ洋風の建物が記念館となっています。

1.建物の歴史

吉祥寺から三鷹あたりは、大正8年(1919)に吉祥寺駅ができ、住宅開発が進み、関東大震災後は、東京女子大、成蹊学園などの教育施設が周辺にできて、文化人も移り住んだ。

山本有三は吉祥寺に住んでいたが、ここ三鷹・下連雀の洋館が気に入って購入し、昭和11年(1936)から昭和21年(1946)まで家族と暮らした建物は、実業家の住居として大正末期に建てられたもの。洋館の建物で、大谷石を使った暖炉、煙突があり、外観は瀟洒であり、内部はステンドガラスなど個性的なデザインがされている。ただし、建物の設計者などについては分かっていないという。

戦後は、GHQにより接収され、米軍幹部の住まいとされてしまい、邸はペンキが塗られたり、家具等も破損・紛失したという。接収が解除された後も、山本はこの建物に住むことはなく、国立国語研究所の分室とし使われ、その後、山本により東京都に寄贈された。昭和60年(1985)に三鷹市に移管され、平成8年(1996)に記念館として開館した。

建物は、保存修復され、いまは一般に公開され、書斎であった建物内部や、山本の作品なども企画展示されている。建物の周りは静かな庭園となっている。

建物の保存に関わった鈴木博之(建築史家、東大名誉教授、1945-2014年)は、次のように保存の重要性を語っている。

「歴史有る建物を誰が管理して運営するか、これは極めて重要なことです。山本有三記念館が、地元の三鷹市が住まい続けていることは建物保存上も、運営することの重要性を教えてくれた、理想的な形だと思います。 」『保存原論』鈴木博之 市ヶ谷出版社 2013

2.建物の外観

建物正面(北側)

大谷石で造られた暖炉の煙突

建物南側

建物南側

外観も洒落たデザイン


静かな庭園


3.建物の内部
階段

階段踊り場のステンドグラス

ステンドグラスの窓


家具

家具

ランプ


「イングルヌック」と呼ばれる暖炉のある部屋:
「イングルヌック」とは「暖かく居心地の良い場所」という意味


(3)武蔵野市から三鷹市へ
武蔵野市から

三鷹市の桜

山本有三といえば、代表作『路傍の石』が映画化もされ、知られていますが、いまはその時代背景の違いもあり、ほとんど読まれていないのではないでしょうか。また、山本有三という作家自身もそれほど知られているとは言えないかもしれません。

しかし、山本有三ゆかりの建物が、記念館として保存されていることにより、建物ばかりでなく、山本有三とその作品についてもいろいろ知ることができます。

東京異空間200:キリスト教交流史@東洋文庫

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