2021年10月29日金曜日

万華(花)


万華鏡をのぞくと、美しい模様がキラキラと輝きながら変化し、まさに千変万華(化)の空間が広がります。そんな万華(花)の空間を撮ってみました。





 





菊の花のようにたくさんの花が一斉に咲いていると、また格段の美しさの空間が広がります。花だけでなく、葉の集まりにも不思議な空間が広がっています。


















美しい花には蝶が止まり、それぞれの色の美しさが混じり合う万華をつくっています。









万華鏡にたとえて、花の美しさ、葉の美しさ、そして花に止まる蝶の美しさを重ねてみました。秋の万華鏡の空間に入り込んでいるように。

2021年10月28日木曜日

秋の実・種

ミカン

「実りの秋」といわれるように、散歩していても、たくさんの果実をはじめ、赤い実をつけた樹々、道端の、いわゆる雑草(「雑草という植物はない」by牧野富太郎)にも実・種などを見つけることができます。前回は「足元の秋」としてギンナン(銀杏)やドングリ(団栗)などを撮ってみましたが、今回はやはり秋空を向いて、いろいろな色の実・種を撮ってみました。

 

1.果実

このあたりには、柑橘類を植えている家が多い。ミカン、ユズ、キンカン、レモンなどが黄色やまだ青い実をたくさんつけている。

ミカン

ミカン

ミカン、向こうはカキノキ

ハナユズ

キンカン

レモン

また、カキノキを植えている家も多い。黄色く色づいたカキがたわわに実っている。

カキ(柿)は、平安時代の文献にも出てくる日本特産の果物で、英語でもkaki fruit といわれるように海外でも「KAKI」として通用する。甘柿と渋柿があり、渋柿は干し柿にして食べられる。なお、甘柿を干し柿にしても渋柿ほどには甘くならないという。

カキノキ

カキ

 逆に、ザクロは日本ではあまり食べられないが、トルコをはじめとする中東からヨーロッパではよく食べられ、ジュースなども好まれる。キリスト教では「聖母子像」にイエスがザクロをもっている図像があるように、キリストの受難を表わすとされる。

ザクロは、日本では実が割れることから忌み嫌われることもあるが、逆に、種子が多いことから豊穣や子宝に恵まれるとして吉木ともされる。また、仏教では釈迦が子供を食らう鬼神に、柘榴の実を与え人肉を食べないように約束させ、後に子育ての神になったといわれる「鬼子母神信仰」がある。

ザクロ

カリンは果実として生では食べられないが、カリン酒、砂糖漬けなどの原料となる。果実に含まれる成分が咳や痰に効くということからのど飴に配合されている。

カリン

カリン

オリーブの木は、古代ギリシアから盛んに栽培され、この実を絞りオリーブオイルがつくられた。日本では明治政府が殖産の有用植物として、ゴムノキとオリーブの栽培を試みた。当初は神戸で栽培されたが、いまでは小豆島のオリーブがよく知られている。

オリーブ

オリーブ

 2.木の実・種

公園にたくさんの実がついている高い木がある。ムクロジという木で、その実は、羽根つきの羽根の元になる黒い玉の材料になるという。また、果皮にはサポニンが含まれ、サポニンは水に溶かすと泡立つ性質があるので、石鹸の代わりに用いられるという。

ムクロジ

ムクロジ

街路樹としても使われるようになっているハナミズキやヤマボウシも、秋には赤い実をつける。どちらもミズキ科でハナミズキはアメリカ原産で、ヤマボウシは日本産であり、ヤマボウシの果実は食べられるが、ハナミズキの果実には毒があり食用にはできないという。ヤマボウシの果実も食べたことはないが、マンゴーのような甘さがあるという。

ヤマボウシの赤い実は複数の小花が固まって咲き、一つの果実になるもので、「多花果」といわれる。

ハナミズキ


ハナミズキ

ヤマボウシ

ヤマボウシ

サンシュユも赤い小さな実をつけるが、これも生では食べられないが、乾燥させ生薬として漢方に使われている。滋養強壮などの効果があるとされる。

 

サンシュユ

三大庭木として、モチ、モッコク、モクセイがよく使われる。モチノキの種類にはクロガネモチという名の木もあり、たくさんの赤い実をつけ、「金持ち」に通じることから縁起が良いともいわれる。

 

クロガネモチ

クロガネモチノキ

クロガネモチ

モッコクは雄しべ・雌しべのある両性花には赤い実がつく。果実が熟すと割れて中から橙黄色の種が出て、鳥によって運ばれるという。樹齢を重ねるごとに風格を増すことから「庭木の王様」とされている

モッコク

モッコク

ソヨゴは、モチノキの仲間であるが、波状の葉が風に揺れ、音を立てる(=そよぐ)ことからソヨゴと命名されたソヨゴには雄雌があり、赤い実がなるのは雌の木のみで、雌株であっても近くにに雄株がないと結実しないという。なお、黄色い実がなる品種をキミノソヨゴという。

モチノキの樹皮からは、鳥もちがつくられた。かっては職業として鳥を取る人に強力な粘着力のある鳥もちが使われたという。子供のころ、こうした鳥もちを使って昆虫を捕まえることをした思い出もある。

ソヨゴ
 
モチノキ

モチノキ

モチノキ

ピラカンサスは、明治の中頃に日本に渡来したといわれ、実がサンザシに似て常緑樹であるところからトキワサンザシともいわれる。真っ赤な実とトゲがあることから、英語ではfire thorn(火のトゲ)といわれる。丈夫な樹種なので、実物盆栽としても人気がある。

ピラカンサ
 
ピラカンサ

植栽のうち低木にも赤や青などの実をつける樹種がある。ウメモドキは名前の通り葉や花が梅に似ているが、秋には真っ赤な実をたくさん付け、花より実のほうが鑑賞の対象となる。そのため盆栽としても好まれる。

ウメモドキ

ウメモドキ


ウメモドキ

 ガマズミもたくさんの実をつける。実は熟すと酸味がなくなり、甘くなり果実酒として使われる。やはり、盆栽としても育てられる。

ガマズミ

ガマズミ

マユミの名前の由来は、この木から弓がつくられたことに因む。印鑑や櫛などの材料にも使われているという。果皮は四つに裂けて中から4つの種が出てくる。

マユミ

マユミ
 

ニシキギは、モミジに次いで紅葉が美しいとされ、その美しさを「錦」に例え「錦木(ニシキギ)と名付けられている。幹や枝にコルク質の板状の変わった翼を付ける。翼のつかない木を「コマユミ」という。先のマユミの小さい木という意味合いから付けられた名であるが、マユミとは異なりニシキギの仲間であり、盆栽にも使われる。赤い小さな実は、熟すると割れて中から橙赤色の球形の種子が出てくる。これを鳥が好んで食べ、運んでくれる。ただ、この種子は有毒で人間が食べると腹痛などを起こすという。

ニシキギ
 

紫色の小さな身をたくさん付けているのはムラサキシキブ。名前の由来は平安時代の女性作家・紫式部から来ているが、もともとは「ムラサキシキミ」と言われていて、「シキミ」とは実がたくさんなるという意味があることから付けられたという。

すこし小ぶりなコムラサキをムラサキシキブとして、よく植えられている。こちらも枝に小さな紫色の実をびっしりと付ける。

コムラサキ

コムラサキ

ムラサキシキブ
 

縁起の良い木とされるナンテン、センリョウ、マンリョウなども赤い実をつける。ナンテンは「難を転ずる」に通じることから、よく鬼門の方角に植えると良いという。

センリョウは「千両」と書くように、正月の飾りにも使われる縁起物である。マンリョウは「万両」と書き、同じく縁起物であるが、それぞれ樹種としては縁遠い。また、ジュウリョウ「十両」はヤブコウジ、ヒャクリョウ「百両」はカラタチバナ、イチリョウ「一両」はアリドオシの名でも呼ばれる。いずれも赤い実をつける。赤い実は小豆などもそうだが、昔から厄除け、魔除けの意味があるとされている。


ナンテン

ナンテン

 
マンリョウ

マンリョウ

センリョウ


バラの実のことをローズヒップという。このバラの実は正確には果実ではなく、花がらの先端部分が膨らんだもので、植物学上は「偽果」といわれるそうだ。野ばらといわれるバラにこうした実ができるという。ビタミンCが豊富で、ローズヒップ・ティーなどが好まれる。

バラの実

 

バラの実

バラの実

チャの実は、茶葉と違い飲んだりすることはないが、痰がでる咳にに薬効があるとされているそうだ。

チャの実

 

3.草の実・種

いつもなら雑草として見過ごしてしまうような道端の草の中にも、赤い実・種を見つけることができる。

これはハゼラン(多分?)で、線香花火のようにハゼていることから付けられたという。赤い小さな実はかわいい。花は、花弁が5枚で、3時ごろに咲いて、夕方には閉じてしまうという。

ハゼラン?

ハゼラン?

 
雑草としてよく見かけるのがエノコログサだ。花房が犬のしっぽに似ていることから「犬っころ草」が転じて、エノコログサといわれるようになったという。よく「ネコジャラシ」ともいって、これで猫をじゃらして遊んだりする。粟(アワ)の原種であることから穀物として食用にもなるということだが、食べることはない。

 

エノコログサ

アメリカセンダングサ(セイタカウコギとも)という草の種には先端に2本の棘があり、これが人の服、動物の毛などにひっつく。子供の頃、これを投げ合って毛糸の服に着いたら、もう取るのが大変だった思い出がある。


アメリカセンダングサ

アメリカセンダングサ



ヒルガオの種を見つけた。小さな種だが、来春に向けてしっかりと絡みついていた。

その他にも、フヨウの種、ムクゲの種、ユリの種(サヤ)などいろいろな種が来春に備えていた。

ヒルガオの種
 

オシロイバナの種は、花のがくが落ちた後の基部に黒い粒として残る。この黒い種の胚乳が白い粉になることからオシロイバナと名付けられた。

 

オシロイバナの種

つる性の植物で、カラスウリの赤い実がいくつか木に絡まってぶら下がっていた。カラスウリといってもカラスの好物ではないそうだ。

 

カラスウリ

カラスウリ

紫色の実を房状につけた草があった。ヨウシュヤマゴボウというそうだ。漢字で書くと「洋種山牛蒡」。山菜の「山ごぼう」と違って、こちらは有毒で、この実も食べることはできない。雑草化していて身近見ることができるが、食べたら、以下のようにかなり危険な植物だ。

厚生労働省が出している「自然毒のリスクプロファイル」のリストに「果実と根に有毒成分を含み、食べると 腹痛・ 嘔吐・下痢を起こし、ついで延髄に作用し、けいれんを起こして死亡する。 皮膚に対しても刺激作用がある。」と書かれている。

ヨウシュヤマゴボウ

ヨウシュヤマゴボウ

秋晴れの日に散歩しながら、高木から街路樹、庭木、低木、さらに雑草のような草にも、赤い実、紫の実、そして種子をつけている植物を数多く見ることができました。まだまだ、こうした実・種をつける植物はたくさんあるが、やはり赤い実をつけるのが多いようです。これからは葉も紅葉、黄葉していき、花だけでなく、葉や実も鮮やかな色をもっていることをあらためて感じる秋の散歩になりました。

 

東京異空間200:キリスト教交流史@東洋文庫

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