ハギも秋を代表する花の一つで、秋の七草のひとつとなっています。とりわけ、中秋の名月には、このハギとススキとともに、月見団子を供えるという風習もあります。ハギもススキ、昔の日本では山野に自生する身近な植物でした。
2.ハギ
ハギは、秋の七草としても知られているが、草ではなく落葉低木である。秋の七草は、春の七草のようにお粥に入れて食べられる草花とは違い、その花姿を愛で、香りを楽しみ、秋を感じる、季節の移ろいと情緒を楽しむことで選ばれている。そのなかで
ハギは万葉集で一番多く詠まれた植物となっている。
万葉集の代表的歌人の一人である山上憶良は次の歌を詠み、秋の七草花を挙げている。
「萩の花、尾花、葛花、撫子の花 女郎花、また藤袴、朝顔の花」
「萩(はぎ)」は万葉集で、もっとも多く詠まれている秋の花。
「尾花(をばな)」はススキのこと。
「葛(くず)花」は秋に葉の間から大きな赤紫の花を覗かせて咲く花。
「撫子(なでしこ)」はカワラナデシコのこと。この花も、日本女性にも譬えられる可憐な花。
「女郎花(をみなへし)」も同じく女性にたとえられる花。
「藤袴(ふじばかま)」は、上品なたたずまいの花。
「朝顔(あさがほ)」は、現在でいう「アサガオ」とは別で、「桔梗(ききょう)」、あるいは「木槿(ムクゲ)のこと。
いずれも身近にある秋を感じさせる花々である。また憶良には次のように秋の七草を詠んだ歌もある。
「秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数(かぞ)ふれば 七種(ななくさ)の花」
今では、なかなかこうした草花を身近に見ることも少なくなり、季節の移ろいを感じることも少なくなってきているのではないでしょうか。