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2024年7月30日火曜日

東京異空間215:ロートレック展@SOMPO美術館

 

ロートレック展@SOMPO美術館

SOMPO美術館で開催されている「ロートレック展 時をつかむ線」を観てきました。この展覧会は、*フィロス・コレクションによる240点で、素描、版画、書籍への挿絵、手紙、写真などで構成されていました。展示作品のうち、ポスターなどの一部が撮影可となっていましたので、それらを中心にまとめてみました。

また、SOMPO美術館のあと、住友三角ビルに久しぶりに寄ってみました。

フィロス・コレクション

米国のベリンダとポール・フィロス夫妻が、20年以上にわたり収集しているロートレック作品の個人コレクション。

1.ロートレックのポスター

ロートレック(1864-1901)は、南フランスの伯爵家の息子として生まれ、幼いころから絵を描くことに関心を抱いていた。しかし、13歳のとき左大腿骨を、14歳の時に右大腿骨を骨折し、以降脚の発育が停止し、成人した時の身長は152cmに過ぎなかった。病気により孤独な青春時代を過ごしたが、1882年にパリに出て絵を学ぶ。モンマルトルにアトリエを構え、そこに生きる歌手や芸人、娼婦たちの姿を描いた。なかでも素早い描線と大胆な構図を活かしたポスターが一世を風靡した。

ポスターはロートレックの代名詞といわれ、展示されていたのは、ロートレックのポスターのうち、二人のモデルのポスターである。

(1)アリスティド・ブリュアン

ブリュアンは、歌手・作曲家で、パリ・モンマルトルのキャバレーやナイトクラブで活躍した。客として来ていたロートレックと親しくなり、自らの店にロートレックの絵を飾り、シャンソンの挿絵などの制作を依頼した。

カフェ・「エルドラド」での公演依頼を受けたブリュアンはロートレックにポスターを依頼した。

アリスティド・ブリュアン(文字のせ前)

エルドラド、アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレにて

アリスティド・ブリュアン

今回の展覧会ポスター・アリスティド・ブリュアン

ロートレックの特徴あるサイン


(2)ジャヌ・アヴリル

アヴリルは、ムーラン・ルージュ で活躍したフレンチカンカンのダンサー。

劇場を改装したコンサート・スペースはル・ディヴァン・ジャポネ(le Divan Japonais)と名付けられ、内装も日本風に飾られた。

アヴリルは次のように回想している。

「私が名声を得たのはロートレックのおかげです。それはあの方が描いた最初のポスターが出たときから始まったのです」

ジャヌ・アヴリル

ジャヌ・アヴリル

ジャヌ・アヴリル


ディヴァン・ジャポネ


ディヴァン・ジャポネ

今回の展覧会ポスター・ディヴァン・ジャポネ


(3)「ラ・ルヴュ・ブランシュ」誌

描かれているのは、タデ・ナタンソンの妻ミシアのスケート姿。



(参考):

『ロートレック作品集』安井裕雄 東京美術 2024

2.SOMPO美術館

SOMPO美術館については、さきに「北欧の神秘」展で述べているが、今回も移動する階段の壁に可愛いラベルが貼ってあった。

東京異空間204:「北欧の神秘」展@SOMPO美術館

SOMPO美術館

SOMPO美術館








SOMPO美術館・カフェ


3.住友三角広場

新宿住友には、久しぶりに来てみたが、三角広場として広いスペースがとられていて以前とは違う雰囲気があった。

新宿住友ビルは、1974年に竣工した。 西新宿高層ビル街の草分け的存在で、完成当時日本一の高さを誇り、オフィスだけではなく、飲食物販・スポーツ・カルチャーなど複合商業ビルとして企画されたことが画期的だった。 その三角柱状の形態から「三角ビル」などの愛称もある。

2020年に老朽化に伴う大規模改修工事が完了し、これまでの三角広場に大屋根を設け、天候によらずイベントができる、全天候型イベントスペース「三角広場」がつくられた

三角広場の大屋根

三角広場の大屋根

三角広場

三角広場の大屋根

三角広場に置かれた次のイベント用のマネキン

イベント用のマネキン

イベント用のマネキン

ロートレック展は、フィロス・コレクションという個人コレクションによる展覧会で、このコレクションはロートレックの素描などが中心ということで、絵画はありませんでした。ポスターは、「文字のせ前」の原画が展示されていて、文字の入ったポスターと並べて観ることが出来ました。

SOMPO美術館には、この間、「北欧の神秘」展で訪れましたが、近くにある住友三角ビルに久しぶりに寄りました。かつては三角の高層ビルの吹き抜けに驚きましたが、新しくつくられた大屋根の構造にも驚きました。


2024年6月4日火曜日

東京異空間204:「北欧の神秘」展@SOMPO美術館

 

「北欧の神秘」展@SOMPO美術館

新宿にあるSOMPO美術館で開催されている「北欧の神秘」展を観てきました(会期は6月9日まで。その後、松本市美術館などへ巡回)。

作品の一部は撮影可でした。

1.SOMPO美術館

新しくなったSOMPO美術館へは初めて来た。これまでは、損保ジャパン本社ビル内にあった美術館が、同じビルの敷地内に新たに建物を建て、2020年にSOMPO美術館として開館した。

この美術館は、1976年、損保ジャパン本社ビル42階に「東郷青児美術館」として開設された。よく知られているのは、ゴッホの《ひまわり》を所蔵していること。この絵は、約53億円で落札したことから注目を集めたが、落札当初、「贋作ではないか」という説が広がった。いまは、ゴッホ美術館の学芸員によって否定されている。

損保ジャパン本社ビル

損保ジャパン本社ビル前のSOMPO美術館

SOMPO美術館

ゴッホ《ひまわり》

2.北欧の神秘

北欧の絵画というと、あのムンクを思い浮かべるくらいだろう。西洋美術史の本をひもといても、北欧の絵画というのはまず紹介されていない。今回、北欧三か国、ノルウェー(N)、スウェーデン(S)、フィンランド(F)の各国の国立美術館の所蔵品が展示されている。

展示の構成は次のようになっている。印象に残った作品をあげておく。

序章:神秘の源泉

19世紀、北欧諸国においてナショナリズムの高まりを背景に、北欧の自然、北欧の神話に着目した独自の芸術が生まれた。

ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン 《イルマタル》1860  F

ロベルト(1808-1873)はフィンランドの画家である。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を題材にした作品を多く描いた。フィンランドの美術の改革者とされている。

イルマタルとはフィンランド神話に登場する女神の名前であり、自然や創造の象徴とされている。

1章:自然の力

北欧独自の自然である森と湖、そして夏の白夜、冬の極夜などが作品の題材となる。

エドヴァルド・ムンク 《フィヨルドの冬》 1915 N

ヴァイノ・ブロムステット《冬の日》1896年F

アイリフ・ペッテシェン《夜景画》1887 N

アイリフ・ペッテシェン《夜景画》(部分)1887 N


2章:魔力の宿る森

北欧神話やフィンランドの『カレワラ』などから生まれた物語は、多くが森を舞台に魔法や呪いが出てくる。

(1)ガーラル・ムンテ

ガーラル・ムンテ(18491929) は、ノルウェー出身の画家装飾美術にも関心を向け、ノルウェーの伝統的な民芸品からインスピレーションを得て、神話や民話をテーマとした水彩画を手がけ、そのデザインをタピスリーにも応用した。

『名誉を得し者オースムン』と呼ばれる北欧地域に伝わる英雄譚。オースムンは、王の命により、囚われの身となった姫を助け出すため、ひとり怪物・トロルの城へ。そしてトロルを倒し、財宝を手に入れ、姫と共に帰還する場面が描かれている。

(上段左から)ガーラル・ムンテ《山の門の前に立つオースムン》 / 《一の間》 / 

(下段左から)《五の間》/《帰還するオースムンと姫》


ガーラル・ムンテ 《帰還するオースムンと姫》 19021904 

ガーラル・ムンテ《一の間》(部分)1902-1904 年 N

ガーラル・ムンテ《山の門の前に立つオースムン》1902-1904 年 N

ガーラル・ムンテ《一の間》1902-1904 年 N

ガーラル・ムンテ『山の中の神隠し』1928

ガーラル・ムンテ『山の中の神隠し』(部分)1928

ガーラル・ムンテ《スレイプニルにまたがるオーディンのタピスリー》1914年N

(2)テオドール・キッテルセン

ノルウェーの画家テオドール・キッテルセン18651947は、自然の神秘的な側面に着目し、動物やトロル、妖精の登場する物語をイマジネーション豊かに描いた。

テオドール・キッテルセン《トロルのシラミ取りをする姫》 1900 

テオドール・キッテルセン《トロルのシラミ取りをする姫》(部分) 1900 

テオドール・キッテルセン《アスケラッドとオオカミ》1900 年 N

テオドール・キッテルセン《アスケラッドと黄金の鳥》1900

テオドール・キッテルセン《アスケラッドと黄金の鳥》(部分)1900

これらの作品は、『ソリア・モリア城―アスケラッドの冒険』という絵本のために描いた12枚の挿絵の一部である。

また、展示室のコーナーには、テオドール・キッテルセンの作品に登場するトロルたちをアニメーション化した映像があり、細部まで描き込まれた繊細な作品の数々が大画面で鑑賞できる。これは、約8分間だが魅入ってしまった。

(3)その他

トルステン・ヴァサスティエルナ《ベニテングタケの陰に隠れる姫と蝶(《おとぎ話の姫》のためのスケッチ)》


アウグスト・マルムストゥルム 《フリチョフの誘惑》(部分) 『フリチョフ物語』より 1880s 

アウグスト・マルムストゥルム 《フリチョフの誘惑》(部分・白い鳥) 『フリチョフ物語』より 1880s 

3章:都市

北欧らしい薄闇の中の近代都市の神秘な光景、いっぽうで都市開発の陰で貧困や病など人々の生活を描く。

J.A.G.アッケ《金属の街の夏至祭》1859-1924年S

この作品は、出品リストでは、2章に入っているが、幻想的な都市を描いているので、3章としておく。


北欧の絵画をまとまって観るのは初めてでした。それだけに新鮮で、印象深いものでした。また、会場では、絵画作品の展示に合わせて、描かれた世界をイメージした音の演出がされていました。絵画を「視覚」で楽しむことに加え、「聴覚」で体験するという体験は、美術館では初めてでした。

階段やエレベーターの扉などに妖精や魔物たちの絵が貼られていて、心を和ませてくれる演出でした。







東京異空間342:戦争画と戦争責任~「記録をひらく 記憶をつむぐ」展@東京国立近代美術館

これまで戦争画、戦争協力画を観てきました。今回の展覧会を観たことをきっかけに戦争画について色々調べたところ、興味深い絵画があることが分かりました。天皇・皇后を描いた三点が 1943 年の第二回大東亜戦争美術展に出品されたが、戦後はその行方は不明となっているということです。 この...

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