2021年11月17日水曜日

秋の公園Ⅳ~印象派風に?

「秋の公園」シリーズも4回目になります。今回は、二つの公園で、秋深まる風景を印象派風(?)に切り撮ってみました。

 

1.印象派について

印象派(印象主義とも)は、1874年に開かれた若手画家たち(モネ、ドガ、ルノワール、ピサロなど)のグループ展で、出展されたモネの「印象 日の出」について、ある批評家が「何か印象はあるのだろうが、壁紙以下の絵」と酷評したことが新聞記事になり、これがのちに「第1回印象派展」と呼ばれ、こうした画家たちの絵画運動を総称するようになった。

その特徴は、それまでの細かい描写をする写実主義の絵画とは違い、移ろいゆく光や空気感を色鮮やかな荒いタッチで、境界も曖昧な点描のように表現した。題材も神話や聖書によるものではなく、郊外の自然や都会人の日常などを描いた。

モネ「印象 日の出」

2.印象派と写真

この印象派が生まれた背景には、写真の発明・普及がある。写真は、やはり19世紀前半にフランス人、ダゲールによって開発されたダゲレオタイプ(銀板写真)が実用的なものとして普及した。対象を正確に描写するだけなら写真のほうが圧倒的に正確であり、当時の画家たちは写真とは違う、新たな絵画表現が模索していた。そうしたことから、絵具の多様な色彩を使い、光や空気感といった心に残る主観的な表現を追求していった。つまり、風景をそのまま写実的に描くのではなく、風景によってもたらされる一瞬の感覚を表現することを追求していったのが印象派であるとされる。

第1回印象派展がオペラ座の近くにあった写真家ナダールのスタジオで開かれたというのも、写真の影響を象徴的に示しているのであろう。その後の写真史では、今度は、写真のほうが、より絵画的、より芸術的な表現(ピクトリアリズム)を求めて行った。

ダゲールの肖像・銀板写真

福原信三 「写真芸術」の確立を目指した写真家、資生堂の初代社長である


3.印象派と浮世絵

もうひとつ、印象派に大きな影響を与えたのが日本の浮世絵(ジャポニスム)である。「北斎漫画」に見るような人物の動きがスナップ・ショットのように描かれ、例えばドガの踊り子のポーズに影響しているという。また、北斎や広重の風景画にみる大胆な構図が、モネの「太鼓橋」、あるいはゴッホの広重の浮世絵を模写した作品などに大きな影響を与えた。

ドガの踊り子

「北斎漫画」

モネ「太鼓橋」

ゴッホ「梅の開花」

今回、秋深まる二つの公園の風景を印象派の特徴をふまえて、次のように、1.光の色彩2.大胆な構図3.印象的(主観的)な表現の3つに分けてみました。

1.光の色彩


























2.大胆な構図





























3.印象的(主観的)な表現









ジョロウグモ

三宝寺池の淵には、厳島神社、宇賀神社、水神社がある。


秋の公園の一つは、いつも散歩に行く武蔵関公園、ここには富士見池があり、その湧水は石神井川に流れています。もう一つは、石神井公園、ここには三宝寺池があり、こちらの湧水も石神井川に流れ込んでいます。

それぞれの池では、紅葉・黄葉が水面に映え、その光や色合いは、モネの睡蓮ではないですが、印象派的でありました。樹々の幹、枝、そして色づいた葉が大きく空に向け広げていました。死んだ蝶、獲物を待つ蜘蛛、季節外れの紫陽花の花、などは、これから冬を迎える秋の寂しさを表わすようで、印象に残るものでした。

 

今回の写真は、印象派風(?)と少し気張ってみましたが、いずれも「壁紙にも使えない」と酷評を受けるようなものですが、すこしでも「印象」に残っていただければと思います。

川瀬巴水・新版画「三宝寺池」


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