愛飢男(四十五文字) |
杉本博司展@渋谷区立松濤美術館については、すでに東京異空間146から4回にわたり取り上げていますが、展覧会の後期の展示を観るために再訪しました。後期に展示されている作品では、屏風が姫路城から江之浦測候所に替わり、書は平仮名のいろはから、漢字のおいうえおに替わっていました。
1.屏風
屏風は「柑橘山春日社遠望図屏風」と題され八曲一隻に仕立てられている。杉本は小田原につくった江之浦測候所に、柑橘山という山の名を付け、春日社を勧請した。神護景雲2年(768年)、常陸国の鹿島神宮からタケミカヅチノミコトが白鹿に乗って大和国御蓋山へ渡ったという鹿島立ちの際、ここに立ち寄ったという仮説を立て、春日社を勧請したという。
駿河湾から、遠くには伊豆大島を望む雄大な風景を写しとった作品である。
「柑橘山春日社遠望図屏風」 |
「柑橘山春日社遠望図屏風」 |
「柑橘山春日社遠望図屏風」の春日社 |
2.書
前期はひらがなの「いろは歌(四十七文字)」であったが、後期は漢字で「愛飢男(四十五文字)」と題して、次のように書き表わされている。
愛飢え男 花器供華子 叉死す施祖 多散つて跡 何似ぬ音の 波悲笛浦 魔見む眼も 失意故よ 拉吏流れろ 賄故よ ん
次のような意味だという。
愛に飢えた男が 花を生ける華子をみている たくさんの人が散って又ひとり
お参りをしなければ 海辺の波は 聴いたこともない哀しい笛の音を奏でる
世界が恐ろしく見える それを射るように見る私の眼のせいだ 因らわれの役から逃れよう
贈物を遺して ん
よくわからない意味だが、字を見てそれとなく納得する。いずれにしても迫力のある書である。
「愛飢男(四十五文字)」 |
「愛飢男(四十五文字)」 |
再訪して、また、多くの写真を撮ってきました。そのうちの何枚かを「芸術の秋~杉本博司」のⅠ~Ⅳまでに追加しました。
また、今回も白井晟一の設計による松濤美術館の建物のうち階段の美しさを撮ってみました。杉本博司展は11月12日で終了し、次の展覧会は「「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容」という企画です。面白そうなので、また来てみたくなります。
松濤美術館・階段と照明 |
松濤美術館・階段と照明 |
松濤美術館・階段 |
松濤美術館・階段と照明 |
松濤美術館・階段と照明 |
0 件のコメント:
コメントを投稿