金沢は百万石まつり(6月5日〜7日) の最終日でした。訪れた尾山神社の参道には出店が並んで賑わっていました。尾山神社は、加賀藩祖・前田利家公と正室・お松の方(芳春院)を祀る金沢の象徴的な神社です。
1.創建
1599(慶長4)年、前田利家没後に前田利長は、前田利家を神として祀ることを計画したが、徳川幕府の目を憚り。 越中国にある前田家の守護神を移すという名目で「卯辰八幡宮」を建立した。これが尾山神社のはじまり。
明治維新後、旧加賀藩士は卯辰八幡宮の存続に尽力し、前田利家の功績を後世に残していくために、1873(明治6)年、現在地に新しい社殿を造営して、「尾山神社」と改称した。ちなみに、この地は、もともと幕末の加賀藩主や側室の住まいとしていた「金谷御殿」の跡地であった。
1998(平成10)年に 、創建以来、境内の摂社である「金谷神社」に祀られていた前田利家の妻・まつを、本殿の利家と共に合祀された。この合祀は、加賀藩100万石を支えた慈母であるまつの功労を称え、おしどり夫婦であった2人を共に祀るために発案されたもので、全国的に見ても夫婦の合祀は珍しい事例とされる。
2.神門
「神門」は、1875(明治8)年に建てられた。 和漢洋の三様式を取り入れた異色の建造物として、最上階のギヤマンはかつて灯台の役割も果たしていた。 門の第一層には「戸室石」(通称「加賀花崗岩」)が用いられ、第三層は四面五彩のギヤマン(当時のガラス)張りで、いわゆるステンドグラスとなっている。さらに、第三層に設置された避雷針は、日本最古の避雷針としても知られている。
3.拝殿
入母屋造(いりもやづくり)屋根瓦葺きの重厚な建物。内部には 旧金沢城内の「金谷御殿」から移築された欄間などの装飾がある。
4.本殿
本殿を囲む玉垣に珍しいレンガ造りが採用され、そこに「剣梅鉢の御紋」が施されている。
5.金谷神社
尾山神社の境内社である「金谷神社」は、加賀藩2代藩主の前田利長から17代までの歴代藩主・当主とその正室を祀る神社。金谷神社の社殿には、かつて金谷御殿で使われていた部材(天井や欄間など)が現在も一部流用されている。
6.神苑(旧金谷御殿庭園)
池泉回遊式の庭園があり、江戸時代後期から明治初期にかけて造営された。この庭園は、もともと加賀藩主・前田家の別邸であった「金谷御殿」の庭園を整備したもの 。戸室石で作られたアーチ橋「図月橋(ずげつきょう)」や、築山の石組に沿って流れる滝(響音瀑)などが配置されている。池に浮かぶ島(笙島、琵琶島)や橋(図月橋・琴橋・八ツ橋)には、雅楽にちなんだ名前が付けられており「楽器の庭」とも呼ばれている。
7.彫刻
(1)前田利家公像
馬にまたがり、「槍の又左」と恐れられた通り、天を突くように長い槍を掲げた勇猛な姿で、背中に背負った大きな袋状の「母衣(ほろ)を背中にする。 風船のように丸く大きな袋の「母衣」は、流れ矢や投石から身を守るための武具で、内部には鯨の骨や竹が組まれており、赤母衣衆(あかほろしゅう)として活躍した利家を象徴するアイテムである。
2000年に設置され、制作者は、金沢市出身の彫刻家である米林勝二、山瀬晋吾、湊真佐夫の3名による。なお、お松の方之像も同じである。
(2)お松の方之像
前田利家公像の横にがあり、夫婦で加賀藩を見守るように配置されている。
(3)金鯰尾兜
境内には金色に輝く前田利家の兜像も展示。これは1999年に寄進された、「利家公金鯰尾兜像」の複製品。 なお、本物の兜は、現在も前田家が所蔵している。
(4)狛犬
1933年に建立された青銅製の狛犬で、ライオンに近いような、またシーサーにも似た異相とも言われる独特の顔つきである。
(5)さし石
江戸時代以前から伝わるもので、かつて若衆たちが力や技を競うために持ち上げた「力石」(「番持ち石」とも)で、重い石を両腕で頭上へ高く差し上げる動作を「さす」ということから、力比べに使うこの石が「さし石」と呼ばれる。前田家から拝領されたもので、触れると健康になると信仰されているという。
(6)現代彫刻
境内には、次のようなパブリックアートの彫刻が置かれている。
・「夏の夕刻」は、縁起の良さそうな金色のカエルたちが集うハスのオブジェ。
・「山笑う」は、ゼンマイに持ち上げられた枕木のベンチ。
| 近くでタイサンボクが咲いていた |
・「母子順風之像」 は、 頭に鳥を乗せ、背中に羽が生えた人物が子供を背負っている姿。 彫刻家・平野富山によって制作され、1981年(昭和56年)に建立。
8.東神門
もうひとつの神門「東神門」は、尾山神社の裏手にある。旧金沢城の二の丸御殿の唐門で、1963年に尾山神社に移築された。桃山風の様式で、釘を1本も使用していない総ケヤキ造りの唐門は、表の神門とは異なった趣である。
2002年のNHK大河ドラマ『利家とまつ~加賀百万石物語』は、激動の戦国時代を生き抜き、加賀百万石の礎を築いた藩祖・前田利家(唐沢寿明)と賢夫人として知られるまつ(松嶋奈々子)が繰り広げる夫婦の愛のサクセスストーリーで人気になりました。 聡明で芯が強く励まし上手のまつの「私にお任せくださりませ」というセリフが話題になりました。
やはり、夫婦円満の秘訣は、妻の「私にお任せください」によるのでしょうか。
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