2024年1月7日日曜日

東京異空間169:初詣~田無神社・東伏見稲荷神社

 

田無神社

今年の初詣は、辰年に因んで龍のたくさん棲む田無神社と、毎年行く東伏見稲荷神社に行ってきました。

1.田無神社

田無神社の由緒によると、、13世紀鎌倉時代には、現在の保谷と田無の間にあった谷戸に鎮座し、尉殿大権現と呼ばれていたという。尉殿(じょうでん)の「尉」とは、水の神を意味しており、「田無」という地名から推察されるように、この辺りは武蔵野台地であり、水が乏しく田んぼができない土地であったことから水を守る神として崇められたといわれる。尉殿大権現は、神仏習合のもと、倶利伽羅(くりから)不動明王を本地仏とする龍神であり、明治の神仏分離令まで、不動明王の化身である龍神として、水と風を治める豊穣の神であった。そのことから、この神社には黒・青・赤・白・黄の五龍をはじめ、いたるところに龍が祀られている。辰年の2024年はテレビなどにもとり上げられ、多くの初詣客で賑わっている。

(参照):「東京異空間61:仏と霊獣~田無総持寺と田無神社」2022/05/30

田無神社

田無神社・拝殿

拝殿を飾る鳳凰と龍

拝殿を飾る鳳凰

拝殿を飾る龍

拝殿を飾る龍

拝殿を飾る龍

2.東伏見稲荷神社

東伏見稲荷神社は、西武鉄道がこの沿線の開発のひとつとして 1929年(昭和4年)京都の伏見稲荷大社の分霊を勧請して創建された。 「東伏見」という社号は、京都伏見から東に遷したという意であり、御祭神が到着した後に、駅名もそれまでの「上保谷」から「東伏見」へ変更し、あわせて町名も同じく「上保谷」から「東伏見」となった。

(参照):「東京異空間40~東伏見稲荷神社とその周辺を歩く」2021/12/03

東伏見稲荷神社

東伏見稲荷神社

東伏見稲荷神社

東伏見稲荷神社

3.辰年

今年2024年は辰年。この「辰」という語は、「振」(しん:「ふるう」「ととのう」)という意味であり、草木の形が整った状態を表しているとされる 。十二支は、もともと、年月や時刻、方位を計るために用いられ、それぞれ 「子」=「鼠」、「丑」=「牛」・・「辰」=「竜/龍」のように12種類の動物がそれぞれ割り当てられた。 したがって、本来、「辰」という字には「竜/龍」のような意味はなく、想像上の動物(?)である竜/龍が充てられ、むしろ龍のイメージが膨らんだといえる。中国では古くから龍は皇帝の象徴とされ、のちには5本の爪を持つ龍は皇帝だけが使える文様となったという 日本でも龍はやはり力の象徴であり、植物の成長に欠かせない水をつかさどる神としてあがめられてきた。だが「逆鱗に触れる」という言葉もあるように、怒らせればその年の作物をすべてダメにするほどの力を持った、荒ぶる恐ろしい神としての性格も強くある。

龍・田無神社

青龍・田無神社

赤龍・田無神社

白龍・田無神社

龍・東伏見稲荷神社

4.初詣

ところで、初詣というのはいつから始まったのだろうか。平山昇の研究によると、「初詣とは鉄道の誕生と深く関わりながら明治中期に成立した近代の新しい参詣スタイルである。」という。

江戸時代には、「年籠り(大晦日の夜から寺社に籠って新年を迎える)」、「恵方詣(縁起の良い方角にある寺社に参拝する)」、「初縁日(初めての縁日にあわせて寺社に参拝する)などが行われていた。これらはいずれも「いつ」「どこに」お詣りするかというルールが守られていた。しかし、明治には入り鉄道が普及してくると、初詣とは、恵方(どこへ)や、縁日(いつ)とはかかわりなく、新年に、どこかの寺社にお詣りするという曖昧なものとなる。それは信心というより、鉄道に乗って郊外に出かけるという行楽の楽しみが優先されてきたことに他ならない。そうなると、鉄道会社も参拝客をさらに増やそうと、臨時列車の増発や宣伝など熾烈な競争を繰り広げる。その競争に成田山新勝寺のようにお寺も加わる。

さらに、大正期以降になると、明治神宮ができたこともあり、皇室や「国体」と結びつけて初詣を語るナショナリスティックな言説が新たに生じてきた。

その後、震災や戦災をはさみながらも、庶民の初詣は、今も衰えていないようだ。最近の参拝客の多い関東の寺社では、一番が明治神宮、2位は成田山新勝寺、3位は川崎大師で、それぞれ300万人を超えている(2019年のデータ)。

コロナ渦で、参拝客も減少しただろうけど、また今年辺りは増加に転じていると見込まれる。今の人たちは、どういう思いで初詣に出かけるのだろう。信心?習慣?行楽?気分?、いずれにしても新年になって、家族や友人たちと一緒に出かけることが多い思われる。

(参考):

『鉄道が変えた社寺参詣』平山昇 交通新聞社新書 2012


今年は、辰年ということもあって、電車に乗って2駅の田無神社に初詣に行きました。もちろん、毎年行く東伏見稲荷神社にも行ってきました。

新年早々、能登半島大地震や羽田空港の事故など驚くようなニュースを目にしましたが、「辰」の意味にあるように、物事が成長し形が整うように、またいっぽうで天高く上る龍のように(ただし、逆鱗にはふれず)、活気ある年にしたいものだと願います。

帰り道、冬桜が青い空をバックに咲いていました。

冬桜

冬桜

冬桜


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