先に、國學院大學博物館で開催されていた企画展「神輿ーつながる人と人ー」を観ましたが、そのあとに常設展を観てきました。展示は、考古、神道、校史の3つのテーマとなっています。その中から興味深いものをピックアップしてみました。
1.考古
(1)火焔型土器 (縄文中期)
全体の形状が燃え上がる炎を思わせることから「火焔型」土器と呼ばれている。オコゲがついているものも出土することから、煮炊きに使われたと考えられる。しかし、その形状から見て何らかの祭祀的な目的に使われることがあったとする考えもある。
(2)遮光器土偶(縄文晩期)
目にあたる部分が雪の中などに行動するときに着用する遮光器(スノーゴーグル)のような形をしていることからこの名称がつけられた。これは、目の誇張表現と考えられている。 遮光器土偶は主に東北地方から出土し、縄文時代晩期のものが多い 。
(3)埴輪(古墳時代)
祭祀や魔除けなどのため、古墳の墳丘などの上に並べ立てられた。円筒埴輪と壺形埴輪が3世紀後半に登場し、 4世紀に家形・器財形・動物形が出現し、5世紀以降になると人物埴輪がつくられた。
2.神仏像
(1)神像
神道では、古くは鏡、玉、剣がカミの依り代として崇敬され、本来、カミは姿形を持たなかったが、仏教が広まると仏像の影響により、神は仏の化身だと考えるようになり(本地垂迹)、神像が制作されるようになった。ただし、 神社に安置される神像は「ご神体」とされて一般に公開されることはあまりなく、寺院における仏像とは対照的である。
女神像
男女神像
(2)狛犬
狛犬は、獅子と同一視され、権威の象徴ないし守護として神社や寺院の入口に置かれるようになった。
(3)仏像
阿弥陀三尊像
阿弥陀如来
観音菩薩
勢至観音
観音菩薩とともに、阿弥陀如来の脇侍として安置される。
馬頭観音
「馬頭」という名称から、民間信仰では馬の守護仏としても祀られる。さらには、馬のみならずあらゆる畜生類を救う観音ともされていて、呪詛を鎮めて六道輪廻の衆生を救済するとも言われる。
六地蔵
輪廻転生する六道(天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の6つの世界)の思想に基づいて地蔵菩薩を6体並べて祀ったもの。地蔵菩薩は、六道すべての世界に現れて衆生を救う菩薩であるとされる。
不動明王・矜羯羅童子・制多迦童子
不動三尊像:倶利伽羅剣と羂索を持つ不動明王に、脇侍として矜羯羅童子と制多迦童子が置かれる。どちらも奴僕や従者を意味するが、矜羯羅童子の場合は不動明王の奴僕を表すとともに、仏法に対して恭敬であるさまを意味している。
愛染明王
不動明王は仏法を守護する役割を担う五大明王の中心的な存在であるのに対し、愛染明王は愛欲や煩悩を浄化し、悟りの道へと導く役割を担っている。
懸仏
本地垂迹の思想から鏡面に立体的な仏像を彫刻ないし添付するようになり、これを
「神の真なる姿」という意味で「御正体」とした。壁に懸ける目的で吊り輪を取り付けたものも多くあり、そこから「懸仏」とも呼ばれるようになった 。
(参照):
東京異空間220:日本の仏像@東京国立博物館・本館、法隆寺宝物館(2024/8/26)
國學院大學博物館の一番の特徴は、神道の展示コーナーでしょう。ここには、吉田神道の行事で用いられる、炉を中心とした八角形の壇である吉田神道行事壇(復元模型)や、大嘗祭が行われる、悠紀・主基両殿を中心とする大嘗宮の模型などが展示されています。他では見られないような興味深い展示ですが、残念ながらこのエリアは撮影不可となっています。
大嘗宮(ウィキペディアより) |
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