2021年1月12日火曜日

表慶館~芸術作品としての建築

表慶館

上野の東京国立博物館のなかに表慶館がある。東博(トーハク)に行くたびに、素晴らしい建築ということで、入って見たいと思っていたが、ここは特別展が開かれることがないと中に入ることはできない。今回、工芸2020展が開かれた際に、はじめて入ることができた。

 

表慶館は、明治41年(1908)に皇太子時代の大正天皇の御成婚を祝って建てられた。設計は、ジョサイア・コンドルの弟子である片山東熊で、彼は迎賓館をはじめ奈良、京都の国立博物館など西洋風の宮廷建築を手がけている。竣工当時は、ジョサイア・コンドルの設計による旧本館があった。旧本館は、関東大震災で損傷を受けたが、表慶館は、その頑丈な土台、重厚な造りで耐えることができた。

 

表慶館の外観は重厚な石造りで、外壁には楽器、製図用具、大工道具など、音楽、絵画、建築など芸術全般を表わすアイテムをモティーフとしたメダイヨンで飾られている。入口には一対のライオンが阿吽の形で構えている。これは、靖国神社に立つ大村益次郎像などを手がけた大熊氏廣により製作された。




表慶館外壁のメダイヨン

大工道具=建築を表わす外壁のメダイヨン

入口のライオン像

 

内部は、エントランスが中央に天井まで吹き抜けるドーム、床にはモザイクのタイルが貼られている。

天井まで吹き抜けるドーム











モザイクのタイル




とりわけ素晴らしいと思うのは階段で、曲線を基調としたデザインで作られており、装飾も見事である。

表慶館は、建物全体がまさに芸術作品となっている。




















明治に建てられた表慶館は、その重厚な外観も、装飾された内部も、美しい空間を形成している。上野に見ることができる「東京異空間」である。

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