2023年8月29日火曜日

東京異空間145:「インターメディアテク」(IMT)を観た

 

インターメディアテク(IMT)

東京駅丸の内南側にあるJPタワー(旧東京中央郵便局)に入っている「インターメディアテク」(IMT)を観てきました。ここは東京大学が所蔵してきた学術標本を展示する博物館です。

1.「インターメディアテク」(IMT)

この博物館は、20133月に丸の内JPタワー(旧中央郵便局舎)内にオープンした。「インターメディアテク」(IMT)という名は、各種の表現メディアを架橋することで新しい文化の創造につなげる「間メディア実験館」という意味を込めているという。その内容は、東京大学が1877(明治10)年の開学以来蓄積してきた学術標本の常設展示と、それぞれのテーマを持った特別展示で構成されている。

常設展示では、キリンやクジラなど大型動物の骨格標本、動物・鳥類の剥製、植物標本、化石、鉱石など博物学を構成する様々な展示物に加え、建築模型、仏像、民族品、歴代の東大教授の銅像、古写真、書籍、医療器具、などなどが所狭しと展示されている。

カブトガニの向こうは東京駅

展示室

キリンの骨格標本

鳥の剝製

タカアシガニ

秋篠寺・乾漆仏の復元模型

メキシコ文化

アフリカ文化

東京帝国大学法科大学講義室・模型

東京帝国大学講堂(現・安田講堂)の時計、左は旧東京中央郵便局の時計針

日英博覧会(1910年)大賞賞状

渋沢栄一・ナダール(1867年)

明治天皇・内田久一(1875年)

皇后・内田久一(1872年)

徳川慶喜・フレデリック・サットン(1867年)

特別展示では、「東京エフィメラ」と題された展示が行われていた。「エフィメラ」とは、

ポスター、パンフレット、チラシ、手紙、写真など長期的な使用・保存を前提としていない印刷物などを指す。展示されていたのは、戦後の東京にまつわる都市計画書、観光案内、東京オリンピックの記念切手、ソノシート、ポスター、チラシなど、図書館や美術館などでは目にすることがないもので、こうしたヴィジュアルな資料から、戦後の東京を垣間見ることができる。

特別展示「東京エフィメラ」

丹下健三研究室「東京計画1960」(1961年発行)

東京オリンピック・ソノシート、記念切手

連合軍・休戦記念日「RODEO PROGRAM」のパンフレット

「東京娯楽案内」・日本交通公社発行(1947年)

インターメディアテクのポスター(2014年)

2.旧東京中央郵便局

インターメディアテクが入る旧東京中央郵便局(現在はJPタワー、商業施設はKITTEとなっている)は、昭和モダニズムを代表する歴史的建築として知られていた。設計は逓信省の建築家・吉田鉄郎(1894-1956)によるもので1933(昭和8)年に竣工した。この建築を日本のモダニズムの傑作と称賛したのはブルーノ・タウトである。

郵政民営化に伴い、東京中央郵便局の再整備計画によりこの建物も建て直されることになった。このとき、「ツルの一言」ならぬ「トキの一言」で計画の大幅な変更が行われ一部が保存されることになった。というのは、当時の総務大臣であった鳩山邦夫が、重要文化財といえる建物をなくすことは「トキを焼き鳥」にして食べるような話だと物言いをつけた。鳩山は現地を抜き打ち視察し、解体工事をストップさせ、計画を見直しさせて、ついには「トキを焼き鳥にせず、剥製にして残す」と例えて、旧局舎の3割を残すこととなった。これが2009(平成21)年のことである。建設途中の2011(平成23)年3月11日には、あの東日本大震災があり、ちょうどその時目の前を歩いていて、建設の上に据えられたクレーンがグラグラと大きく揺れていて怖かった思いがある。JPタワーは2012(平成24)年に開業している。

インターメディアテクは、このビルの2,3階のフロアにあるが、6階には屋上庭園があり、ここからは東京駅の建物がよく見える。

インターメディアテクのオブジェ

鳥類の剥製室

インターメディアテクの階段横に恐竜

KITTE(保存された部分)の内部空間

KITTEの内装

インターメディアテクには、何度か来ていますが、いつ観ても見切れないほどいろいろなものが展示されています。来るたびに、博物学の広さ、奥深さを感じるとともに、あらたな刺激を受ける「知的空間」であり「美的空間」でもあると思います。

以前(2019年)に、このビルの屋上庭園から東京駅の夜景を撮りましたが、なかなかの景色だったのを思い出しました。

正面(白い建物)が旧東京中央郵便局

屋上庭園から見る東京駅

東京駅・新幹線

屋上庭園から見る東京駅

東京駅丸の内

東京駅丸の内

屋上庭園から東京駅夜景(2019年6月撮影)


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