2024年7月28日日曜日

東京異空間214:岡本秋輝・摘水軒コレクション@千葉市美術館

 


千葉市美術館で開催されている「岡本秋輝 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師」と「江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展」を観てきました。岡本秋輝にしろ、摘水軒にしろ、あまり知られている名前ではないと思いますが、ときどき江戸絵画の展覧会では目にする名前でした。はじめは岡本秋輝のほうに期待していましたが、むしろ、摘水軒コレクションのほうが見応えがありました。もちろん、どちらも期待を大きく上回った展覧会でした。

さらに、千葉市美術館コレクション選も開かれていて、こちらも充実したものがありました。

展示作品は、何点かに限って撮影可能でしたので、それを中心にまとめてみました。

1.岡本秋輝

岡本 秋暉(1807-1862)は、江戸時代後期に活躍した絵師で、花鳥画、とりわけ孔雀を得意とし、「若冲の鶏」「光起の鶉」「狙仙の猿」などと並んで「秋輝の孔雀」とも評される。

この展覧会においても孔雀、さらには様々な鳥を中心とした花鳥図が多く展示されていた。展覧会のタイトルにもあるようにまさに「百花百鳥」である。これらの作品も、その多くが摘水軒コレクションとなっている。

なお、岡本秋輝の花鳥画も極めて精細な描写であり、同じように先に練馬区立美術館で見た池上秀畝の作品を思い出させる。勿論、時代的には池上秀畝(1874-1944)であり、岡本とは一時代異なる。

(参照):

東京異空間198:池上秀畝展@練馬区立美術館

百花百鳥図

百花百鳥図

孔雀図

芙蓉孔雀図

白梅孔雀図

白梅孔雀図

孔雀図

渓流孔雀図

渓流孔雀図

蝶に孔雀図

蝶に孔雀図

孔雀図


2.摘水軒コレクション

今回の展覧会は、摘水軒コレクションが多く展示されているが、そのルーツは江戸時代の寺島家にあるという。

旧水戸街道に面して居を構えた寺嶋敏巧は、柏村(現・柏市)の名主であり、自らの居宅を「摘翠軒」と称して多くの儒学者を迎え、私塾あるいはある種の文化サロンを提供してい

現存する記録等によると、岡本秋暉・鈴木鵞湖・柴田是眞・福島柳圃・五姓田芳柳・五姓田義松・小川芋銭・小野湖山・勝海舟・遊行上人・河東碧梧桐ら、江戸から大正時代の文化人たちの名前が確認できるというさきの岡本秋輝は、この摘翠軒に逗留し、作品を制作している。

摘水軒コレクションは、この寺島家の文化サロン「摘翠軒」にルーツを持ち、その名を「翠(みどり)」を育んだ地域と人とを「水」に象徴して「摘水軒」という財団名に改称した。

コレクションは、肉筆浮世絵、岡本秋暉、花鳥・動物画の3カテゴリーからなる江戸絵画であり、この展覧会を観ることにより江戸絵画の多くを実物に即して学ぶことができる。

(参照):摘水軒記念文化振興財団

(1)美人画ー肉筆浮世絵

鳥文斎栄之《立美人図》

鳥文斎栄之《立美人図》

祇園井特《美人図》

祇園井特《美人図》

祇園井特《美人図》

祇園井特《美人図》

祇園井特《美人図》


(2)無款《珍禽図》












(3)愛しき動物たち
長澤芦雪《狗子図》

長澤芦雪《狗子図》

長澤芦雪《狗子図》

岡田半江《長春図》

岡田半江《長春図》

岡田半江《長春図》

中村芳中《鹿図》

中村芳中《鹿図》

無款《猫金魚花鳥図》

無款《猫金魚花鳥図》

無款《猫金魚花鳥図》

無款《猫金魚花鳥図》

酒井梅斎《孫悟空の図》

酒井梅斎《孫悟空の図》

柴田是真《葡萄栗鼠図》

柴田是真《葡萄栗鼠図》


(4)葛飾北斎《雪中鷲図》




3,千葉市美術館コレクション選

コレクション選のなかでは「浮世絵に描かれた子どもたち」というコーナーが撮影可となっており、楽しい浮世絵を多くみることができた。そのほか、新たに収蔵された草月コレクションでは、伊東深水、須田剋太など、また特集では、川上澄生などの作品が目を引いた。


楊洲周延《見立石橋山 子供遊之図》

渓斎英泉《線香花火》

渓斎英泉《五節句之内 七夕星祭》

渓斎英泉《獅子おさなあそび》

渓斎英泉《獅子おさなあそび》

渓斎英泉《獅子おさなあそび》

渓斎英泉《美人東海道 新井駅》

菊川英山《風流子宝六歌仙 僧正遍照》

渓斎英泉《当世好物八契 雛人形》

渓斎英泉《当世好物八契 雛人形》

歌川国貞《江戸百景 駒込富士参り》

歌川国貞《江戸百景 駒込富士参り》

歌川国貞《江戸百景 駒込富士参り》

歌川国貞《江戸自慢 洲崎廿六夜

歌川国貞《江戸自慢 五百羅漢施餓鬼》

歌川国貞《江戸自慢 五百羅漢施餓鬼》


歌川国貞《江戸自慢 四万六千日》

歌川国貞《江戸自慢 四万六千日》

歌川国貞《江戸自慢 山王御祭礼》

歌川国貞《江戸自慢 山王御祭礼》

     渓斎英泉《諸国名勝くらべ むらさきのひともと
                  下谷山下 奥州郡山》

渓斎英泉《諸国名勝くらべ むらさきのひともと
下谷山下 奥州郡山》

4.千葉市美術館

千葉市美術館については、すでに拙ブログでもとり上げているが、企画展はどちらかというとマイナーだが、興味深い画家、作品を取り上げることが多い。また所蔵するコレクションの中では江戸絵画、浮世絵などの版画に強みを持っている。

建物は、

東京異空間180: 千葉市美術館所蔵コレクション

旧・川崎銀行千葉支店 模型


千葉市美術館

さや堂ホール(旧・川崎銀行千葉支店)

さや堂ホール(旧・川崎銀行千葉支店)

ドアノブ(旧・川崎銀行千葉支店)


千葉公園の大賀ハスを見て、公園内に残る戦跡などをまわって、モノレールに乗って千葉市美術館で岡本秋輝と摘水軒コレクションの展覧会を観て、さらに千葉神社に寄って、帰りました。観るところが多く、かつて住んでいたころの思い出も含め、充実した一日となりました。


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