2024年7月3日水曜日

東京異空間212:半夏生の花

 

ハンゲショウ

7月1日は「半夏生」といわれる日でした。半夏生とは、夏至から数えて11日目の72日から七夕(77日)までの5日間を指します。この頃に降る雨を「半夏雨」(はんげあめ)と言い、大雨になることが多いそうです。今年も、西日本のほうでは大雨になっていました。

また、この時期に白い葉をつける「ハンゲショウ」と名付けられた花があります。その他、この時期に見られる花を撮ってみました。

1.半夏生(7月1日)

かつては夏至から数えて11日目にあたる日、現在は太陽が天球上の黄経100度通過する日を「半夏生(はんげしょう)」といい、2024年は71日になる。

こうした日は、農作業の大切な目安とされ、田植えは夏至のあと半夏生に入る前までに終わらせるのが良いとされ、半夏生より後に田植えをすると、秋の収穫量が激減してしまうといわれた。そして、無事に田植えが終われば田の神様に感謝をする行事を行い、この日の天気で収穫の出来を占ったりもしたという

また、この日に合わせてタコを食べる風習があり、スーパーなどでもタコのセールをしている。元々は田植えを終えた農家が、豊作を祈願した後、神様に捧げる食べ物としてタコをお供えしたことが始まりとされ、主に関西方面の風習だという。なぜタコかというと、タコの足にある吸盤のように、苗がしっかり根付き稲がたくさん実るよう願いが込められているとか。

2.ハンゲショウ(半夏生)

「ハンゲショウ」の名の由来は、季節の「半夏生」のころに白い葉をつけるためとする説と、葉の一部を残して白く変化する様子から「半化粧」とする説がある。また、葉の片面(表面)だけが白くなることから、カタシログサ(片白草)ともよばれる 。

ドクダミ科の多年草で、水辺や湿地に生え、高さ1メートルほどになり、葉は互生し、花は、花序と呼ばれる小さな花が集まった細長い棒状となる。開花と同時に花序のすぐ下の葉が白く変わる。。白くなる面積は、半分ぐらいから9割ほどで、全体が真っ白くなることはない。そして、花が終わる頃には葉は緑に戻るという、なんとも不思議な植物である。

ハンゲショウ

ハンゲショウ

ハンゲショウ

ハンゲショウ

ハンゲショウ

3.半夏生のころの花

半夏生の頃に見られる花を撮ってみた。

(1)アジサイ

梅雨のころの花といわれるが、まだ花をつけている。アナベルは白色から緑色の変わってきている。西武線柳沢駅の近くにある公園に行き、電車とアジサイを撮ってみた。

アナベル

アナベル

カシワバアジサイ

アナベル

(2)フヨウ・ムクゲ・タチアオイ

大きな花をつけるが、一日花である。漢字では「芙蓉」と書き、芙蓉とはハスの美称でもあり、よく似た花を付ける。

同じ属であるムクゲも多くの花をつける。漢字では「槿」一字で「むくげ」と読む 。古名は「ハチス」ともいわれ、ハチス(蜂巣)は蓮の花の由来でもあり、芙蓉と同様、蓮に関連しているようだ。

タチアオイはアオイ科であり、別な種類だが、花はよく似ている。


フヨウ

フヨウ

フヨウ

ムクゲ

ムクゲ

タチアオイ

3)ユリ・ヤブカンゾウ

ユリの名の由来は、茎が高く風に揺れる様子から「揺り」であるとされる 。美女の形容として「立てば芍薬、坐れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれるように、きりっとして美しい姿である。ヤマユリ、オニユリ、スカシユリなど多くの種類がある。

ヤブカンゾウは、ユリに似たオレンジの花を咲かせる。別名ワスレグサ(忘れ草)と呼ばれ中国渡来の植物で、漢文には「忘憂草」とあることから、日本では古くから「忘れ草」とよばれていた。

万葉集の歌には、花の美しさが悲しみや憂い、想いを忘れさせてくれる花として詠まれている。

忘れ草わが紐に付く香具山の古りにし里を忘れむがため

意味は、「忘れ草を私は紐に付けているよ。香具山の見えるあの懐かしい古里を忘れるために 」ということで、大伴旅人が大宰府に在って、故郷への慕情を断ち切りたいとの心情を詠んだ歌である。 





ヤブカンゾウ

(4)マツバボタン

マツバボタンの名の由来は、葉が松のように細くトゲトゲとしていることからた「マツバ(松葉)」、 花は牡丹のような姿で美しいことから「ボタン」と表現され、合わせて「マツバボタン」と呼ばれるようになった。一日花だが、可愛い花が次々と咲く。





(5)ヒャクニチソウ(百日草)

名前の通り、長く咲く花。といっても一つの花が百日咲いているということではなく、次々と長く咲くことからつけられた名である。開花時期は5月から11月と長い。




6)クチナシ

白い花が良い香りを漂わせる。春の沈丁花、秋のキンモクセイとともに三大芳香木といわれる。実は生薬の原料 「山梔子」となる。また着色料となる。

クチナシの名の由来は、果実が熟しても裂開しないため、口がない実の意味から「口無し」という説がある。

なんといっても、渡哲也が歌った「くちなしの花」が良く知られている。

くちなしの 白い花 おまえのような 花だった♪



(7)ナス・トマト・ワルナスビ

畑には、夏野菜であるナスとトマトが植えられていた。美味しそうなトマトが実っていた。

川べりに行ったら、ナスによく似た花を見つけた。調べてみると「ワルナスビ」というようだ。

これは、名前の通り、厄介な雑草で、茎や葉にトゲがあり、一度生えると駆除することが難しく、有毒で家畜が食べると中毒死する場合があるという。

英語でも「Apple of Sodom(ソドムのリンゴ)」、「Devil's tomato(悪魔のトマト)」などの悪名で呼ばれている。旧約聖書で、「ソドム」は背徳の街、「リンゴ」は禁断の果実ということから有毒の果実を結ぶ植物に用いられる。

ナス

ナス

ワルナスビ


(8)アガパンサス

アガパンサスは南アフリカが原産の多年草で、学名の「Agapanthus(アガパンサス)」は、ギリシャ語で愛を意味する「agape(アガペー)」と花を意味する「anthos(アントス)」の2語の組み合わせてアガパンサス(愛の花)と付けられている。小さなユリに似た花をたくさん咲かせるので英名では「アフリカンリリー」、和名では「紫君子蘭」と呼ばれる。

アガパンサス

アガパンサス

アガパンサス

アガパンサス

(9)シロツメグサ・ムラサキツメグサ

シロツメグサは、別名クローバーといわれ、漢字では「白詰草」と表記される。江戸時代に阿蘭陀から長崎に輸入されたガラス器が割れないように乾燥したクローバーを緩衝材として使われた。「四つ葉のクローバー」は幸運のシンボルとされる。

ムサラキツメグサは、シロツメグサに対するもので、花色が紅紫色なので赤詰草、あるいは紫詰草と呼ばれる。

ムラサキツメグサ

シロツメグサ

半夏生の時期に咲く、色々な花の名の由来なども調べてみました。この時期は、梅雨のジメジメした天気が多いですが、今年は、気温も高い日が続くようです。

ハンゲショウが白くなった葉が緑に戻るように、これからさらに暑くなる真夏を乗り切りたいものです

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