東京国立博物館の東洋館で展示されていたインド細密画を観てきました(2024/6/28)。インド細密画については、府中市美術館で観てから、興味を持ち始めました。
展示されていたのは、ヒンドゥー教の神々をテーマとしたもの9点でした。画像を解説文と併せて掲載します。
(参照):
東京異空間173:インド細密画@東京国立博物館・東洋館2024/1/2
東京異空間172:「うるおうアジア」展@はけの森美術館2024/1/25
東京異空間151:芸術の秋にⅥ~インド細密画@府中市美術館2023/10/18
1《パールヴァティーのタントラ》 ジャイプル派、19世紀後半
パールヴァティーはヒンドゥー教の女神、シヴァの神妃で、「山の娘」を意味します。
パールヴァティーが自らの首を切り離して血を与えるグロテスクな場面(チンナマスター)と性愛の場面とが描かれています。
2《シヴァとパールヴァティーの結婚》 カーングラー派、19世紀前半
2人の後ろに払子(ほっす)をもって立つのは、パールヴァティーの父ヒマヴァットです。
そのほか、多面のブラフマーなどが取り囲んでいます。
3《サラスヴァティー》 ビーカーネール派、19世紀初
サラスヴァティーは芸術や学問を司るヒンドゥー教の女神です。日本では弁財天として親しまれています。
白鳥に乗り、左の第一手にヴィーナという弦楽器を持っています。この絵に描かれたヴィーナは、瓢箪の実をふたつ取り付け、台にしています。
4《マツヤ(魚)に化身したヴィシュヌ(マツヤ・アヴァターラ)》 ビーカーネール派、18世紀前半
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌが魚(マツヤ)に化身することをマツヤ・アヴァターラといいます。
この絵ではヴィシュヌを大きな魚の口から身体が飛び出したような姿に描いています。
5《ヒラニヤークシャを破り大地を取り戻すヴァラーハ(猪)(ヴァラーハ・アヴァターラ)》ビーカーネール派、18世紀後半
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌが猪に化身することをヴァラーハ・アヴァターラといいます。
ダイティヤ族の王ヒラニヤークシャが大地を海底に沈めると、ヴィシュヌがこれを打ち破りました。
猪の2本の牙で大地を支え、右の第一手に剣、左の第二手にヒラニヤークシャの首をそれぞれ持っています。
6《クールマ(亀)に化身したヴィシュヌ(クールマ・アヴァターラ)》ブーンディー派、17世紀末~18世紀初
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌが亀に化身することをクールマ・アヴァターラといいます。
ヴィシュヌは乳海を攪拌し、不死の霊薬アムリタを得るため龍ヴァースキを手伝いました。
画面の上方には「亀の化身」という意味の銘が記されています。
7《ヴァーマナ(矮人)に化身したヴィシュヌ(ヴァーマナ・アヴァターラ)》ダティヤー派あるいはブーンディー派、18世紀末
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌが矮人に化身することをヴァーマナ・アヴァターラといいます。
アスラの王バリが天界・地上・地下の世界を支配していたとき、ヴィシュヌは矮人に化身し、自分に3歩分の土地を与えることをバリに約束させました。ヴィシュヌは巨大な姿に変わると、3歩で三界を踏みしめてすべてを取り戻しました。
8《白馬をひくヴィシュヌ(カルキ・アヴァターラ)》ブーンディー派あるいはウニヤーラー派、18世紀後半
ヴィシュヌ神の化身のひとつであるカルキを表現したものです。カルキは、カリ時代とよばれる悪の世を滅ぼして正義を確立し、クリター時代(純粋な時代)を開きました。
カルキの象徴である剣や白馬とともに表わされています。白馬は下半身を赤く塗られています。
9《マハーラクシュミー》ジャイプル派、19世紀前半
ラクシュミーはヒンドゥー教の女神で、幸運や美、富、豊穣を司ります。日本では吉祥天として知られています。マハーは「偉大な」という意味です。
ラクシュミーは頭の後ろに光背を表し、左右の第一手に蓮の花を持ち、水面に咲いた蓮の花の上に坐っています。
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