2024年6月10日月曜日

東京異空間207:アメンボと池の住人たち

 


先日、NHKの「ダーウィンが来た」で、アメンボの特集「水面の魔術師!アメンボ大冒険」を放送していました(6月2日放送)。それを見ていて、「そういえば、最近はアメンボも見なくなったな」とひとり呟いたら、「武蔵関の池にいるんじゃない」、ということで公園の富士見池に行ってみました。池にはたくさんのアメンボがスイスイと、そう、「見なくなった」のではなく、「見ていなかった」のです。

ということで、アメンボと池にいる鯉、トンボ、カモなどの鳥たちも撮ってきました。

1.アメンボ

NHK「ダーウィンが来た」では、アメンボはなぜスイスイ水面を動けるのか、それだけでなく、魚に襲われたときには、危機一髪、大きくジャンプする、羽があり、水がなくなったら別な水溜まりなどに飛んでいくことができる、などなど水面の魔術師ぶりが紹介されていた。

そもそも、なぜ「アメンボ」か?漢字で書くと「飴棒」、飴のような甘い匂いと体が細い棒のようだから付けられた名である。アメは「雨」ではない、むしろ雨になるとパニックに陥ってしまう弱点がある。匂いを出すのは、カメムシの仲間だからである。カメムシは果物などに被害を与えるが、アメンボは稲を枯らす害虫ウンカを退治してくれる益虫である。その虫の捕らえ方がすごい。昆虫などが水面に落ちると、バタバタして水面が揺れるが、それを感知して、すばやく接近して前脚で捕獲し、針のように尖った口を突き刺して消化液を注ぎ込み、溶けて液状になった体組織を吸汁する 。

アメンボの脚は、昆虫だから6本だが、前脚は捕獲のためで短く、水面を泳ぐのは4本の脚。良く知られているように表面張力を利用してスイスイを動く、そのため脚には細かい毛があり脂が付いている。この脚で波を立てて、縄張りや求愛など仲間とのコミュニケーションまでとっているという。

スイスイと水面を動くだけでなく、産卵の際には水の中に潜ることができる。卵に寄生する蜂を避けるためだ。生まれた幼虫は、すぐに水面の上をスイスイと動きながらエサを食べて脱皮を繰り返す。そして脱皮を5回すると成虫になる。

















2.コイ

池には、大きな鯉がゆったりと泳いでいる。人が近づくと餌をもらえるかと寄ってくる。

さすがに、アメンボを捕らえることはないようだ。


コイとイトトンボ

3.トンボ

水面近くをトンボが飛んでいた。調べてみると、コシアキトンボのようだ。白いおでこ、お腹の半分も白い。漢字で書くと「腰空蜻蛉」、たしかに姿を表わしている。

小さなイトトンボを見つけた。こちらはクロイトトンボのようだ。腹部の後ろのほうに水色の二つの模様がある。イトトンボも「最近、見なくなった」ではなく、やはり、「見ていなかった」。

コシアキトンボ

クロイトトンボ

クロイトトンボ

クロイトトンボ

クロイトトンボ

4.池の淵の花

池の淵にピンクの可愛らしい花が咲いている。ユウゲショウで、「夕化粧 」と書く 。午後遅くに開花して、艶っぽい花色を持つことからとされる が、昼間までも開花しているのを見る。

黄色い花を一輪、水面から出ているのを見つけた。枝が水中に浸かっている。キンシバイで、漢字では「金糸梅」、これは5枚の花弁が梅に、おしべを金の糸に喩えたものだという。

ユウゲショウ

ユウゲショウ

キンシバイ

キンシバイ

タンポポ

タンポポ

5.鳥

(1)カルガモ

池では、カルガモが数羽並んでいるのを「よく見かける」。

名の由来は、マガモよりもやや体重が軽いからという説や、万葉集に歌われた「軽ケ池」に由来するという説があるそうだ。

万葉集の歌は、

(かる)の池の浦廻(うらみ)、行き廻る鴨すらに、玉藻(たまも)の上にひとり寝なく紀皇女

意味:軽の池を泳ぎ回っている鴨でさえ、玉藻の上で一人きりで寝ることはないというのに・・・(私はあなたと一緒に夜を過ごせないのですよ)



(2)カワセミ

カワセミは、この池でよく見かける。繁殖もここでしているようだ。とくに都会の川などで多く見かけるようになったという。これは「見なくなった」のと反対で、よく「見るようになった」だ。

カワセミの名の由来は、「川に棲むセミ」の意で、この「セミ」というのは「ソニ(青土」から来ているという。

(参照):カワセミは拙ブログで何度か取り上げている。

秋の公園Ⅲ~バード・ウォッチング 2021/11/11

SAMPO de Photo10 2020/09/18







カワセミとカメのにらめっこ?

アカミミガメ

(3)ゴイサギ

公園の横を流れる石神井川では、白鷺であるコサギは時々見かけるが、ゴイサギを「見つけた」。

ゴイサギ(五位鷺9の名の由来は、『平家物語』のなかで、醍醐天皇が池にいたこの鳥を見つけ、捕らえるように家来に命令したところ、鳥はおとなしく捕まったので、命令に逆らわず神妙であるということから五位の位を授けたという故事に由来する。

頭の後ろに白い羽毛が長く伸びているが、これは繁殖期の特徴だという。



(4)烏骨鶏

めずらしく烏骨鶏(ウコッケイ)を見た。公園にいる鳥ではないので、飼っている近くの人が、ここに連れてきて一時的に放したのだろう。これは「見なくなった」ではなく、「見ることが珍しい」だ。

烏骨鶏は鶏の一種で、皮膚・肉・骨が暗紫色をしていることから「烏骨」の名が付いている。中国では不老不死の霊鳥として歴代王朝の皇帝に珍重された。

一般的な鶏卵と比較して烏骨鶏の卵は、産卵数が極めて少ないため非常に高価であり、日本では1500円ほどで売られる、という。


NHKの「ダーウィンが来た」をみて、公園の池にアメンボを見に行ってきました。普段、なにげなく散歩していて、ほとんど「見ていなかった」アメンボですが、水面をスイスイと動く姿を見るだけでも、「水面の魔術師」という形容がぴったりでした。

アメンボだけでなく、トンボや周りの花、鳥たちにも目を向けることが出来ました。

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