日本橋にある東京長浜観音堂に行ってきました。
1.東京長浜観音堂
日本橋のビルの4階にある東京長浜観音堂は、「東京にある、長浜の観音堂」をコンセプトに設けられた。これはいわば現代版「出開帳」である。ただし、信仰ではなく、観光に重心が置かれている。
それほど広くない部屋に十一面観音と薬師如来、阿弥陀如来の三体の仏像が置かれている。この仏像は、長浜の高い月町落川にある浄光寺の御本尊である。
(1)高月町落川の浄光寺
寺伝によれば、延暦年間(782-806)に最澄が一堂を建て、自ら彫刻した十一面観音を安置したという。しかし天台宗の一寺院として繁栄したが、戦国時代には兵火にかかって荒廃し、その後、村人の手によって守られてきた。
(2) 十一面観音と如来像
本尊十一面観音は、頭上に化仏と十一面をいただき、左手には蓮華をさした水瓶を持つ。彩色は、肉身部には肌色を塗り、眉・目・髭を墨で書き入れ、唇には朱をさす。衣部は極彩色にあらわし、各種文様で飾る。頭上の十一面もこれに倣ってそれぞれ彩色を施す。
3躯とも地方仏的色彩が濃く、多くの共通性がある。まず顔は面長でやや四角張り、目鼻の彫りは比較的浅くやや偏平的な印象がある。また高く張った肩、長方形に近い胴長の体型、抑揚に欠ける肉体表現など、その表現に共通点は多い。同じ仏師かあるいは同系統の仏師(湖北地方で活動した仏師か)による同時期頃の作と考えられ、その構造・技法・表現などから制作時期は室町時代の頃かと考えられる。
(解説のパンフレットによる)
2.観音の里
長浜は「観音の里」として知られている。しかも古くから村人によって守られてきたものが多い。
また、本尊が十一面観音であるように、十一面観音像が多く残されている。この展示でも本尊・十一面観音の左右に、薬師如来と阿弥陀如来が配置されている。一般に三尊というと、中央に如来、左右に菩薩を従えることが多いが、この配置は逆になっており、極めて珍しい。
2年前、湖北の渡岸寺にある十一面観音を拝するため長浜に行った。そのときのブログにも書いたが、多くの著名な作家たちがここの観音を題材にして小説やエッセイを書き、また写真家・土門拳が素晴らしい仏像写真を残している。
(参照):
〇十一面観音像
〇薬師如来像
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