「江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ」@千葉市美術館 |
千葉公園で大賀ハスを見た後、千葉市美術館、そして千葉県立美術館を巡ってきました。
千葉市美術館では開館30周年記念として「江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ」と「日本美術とあゆむ―若冲、蕭白から新版画まで」が企画され、また常設展として、「千葉市美術館コレクション選」が開かれていました。
千葉市美術館は、浮世絵を中心とした版画コレクションが充実しており、今回の企画展でもその素晴らしいコレクションを観ることが出来ました。
なお、どちらも作品の一部は撮影可でした。
1.千葉市美術館
千葉市美術館は、1995(平成7)年に開館して、今年30周年を迎える。初代館長は、辻惟雄、そのあと1999 年小林忠 、2012年河合正朝、2021年山梨絵美子と、日本美術研究者が続いている。また、田辺昌子、浅野秀剛といった浮世絵研究の第一人者と言われる方がこの美術館に務めている。こうした方々が千葉市美術館の浮世絵を中心とした版画コレクションを充実させた。
今回の開館30周年記念企画「江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ」でも、そのコレクションの素晴らしさを観ることができる。今年はいくつかの美術館で、「よらば大河のドラマ」ではないが、NHK「べらぼう」の蔦重に因んだ浮世絵展を開催している。
(1)「江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ」
この企画展では、浮世絵の始祖で房州出身の菱川師宣(?-1694)にはじまり、多色摺の錦絵を創始した鈴木春信(1725?−1770)、喜多川歌麿(1753? -1806)、東洲斎写楽(生没年不詳)、葛飾北斎(1760-1849)、渓斎英泉(1791-1848)、歌川広重(1797-1858)にいたるまでの浮世絵の歴史をたどりつつ、蔦屋が生まれた時代から華やかな黄金期の浮世絵への展開を、千葉市美術館の珠玉のコレクションを中心に観ることができる。
〇東洲斎写楽 三代目大谷鬼次の江戸兵衛 寛政6年(1794) 大判錦絵 蔦屋重三郎 千葉市美術館蔵
〇宿屋飯盛[撰]/ 喜多川歌麿[画] 『画本虫撰』 天明8年(1788)正月 彩色摺絵入狂歌本 袋2綴2巻2冊 蔦屋重三郎 千葉市美術館蔵 ラヴィッツコレクション
〇喜多川歌麿 「当時三美人 富本豊ひな 難波屋きた 高しまひさ」 寛政5年(1793) 間判錦絵 蔦屋重三郎 千葉市美術館蔵
〇朱楽菅江[撰]/ 喜多川歌麿[画] 『潮干のつと』 寛政元年(1789) 彩色摺絵入狂歌本 折帖1帖 蔦屋重三郎 千葉市美術館蔵 ラヴィッツコレクション
〇渓斎英泉 雲龍打掛の花魁 文政(1818~30) 天保(1830~44) 大判錦絵 竪2枚続 (掛物絵) 大黒屋 千葉市美術館蔵
(2)「日本美術とあゆむ―若冲、蕭白から新版画まで」
こちらの企画展は、まさに千葉市美術館の珠玉のコレクションが一堂に展示され、見ごたえがある。とくにタイトルにある若冲、蕭白は、初代館長である辻惟雄の『奇想の系譜 』によって再評価された画家たちであり、展示されていた作品には魅入ってしまう。さらに近代の「新版画」の橋口五葉や川瀬巴水の作品には、絵だけでなく刷りの見事さにひきつけられる。
〇鈴木其一 桜町中納言図 天保(1830-44)年間 絹本着色 1幅
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伊藤若冲 「乗興舟」 明和4年(1767)頃 木版正面摺 1巻 |
(3)「千葉市美術館コレクション選」
この常設展も充実していて、今回も明治の浮世絵を中心に観た。
〇楊洲周延 東京不忍大競馬之図 大判錦絵3枚続 明治18年(1885)
(参照):
東京異空間180: 千葉市美術館所蔵コレクション(2024/2/12)
千葉県立美術館に続く。
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