2023年5月9日火曜日

東京異空間111:ナンジャモンジャの木~水戸黄門と牧野富太郎

深大寺のナンジャモンジャの木

ナンジャモンジャの花
 

ナンジャモンジャの木が、よく散歩で行く近くの公園にもあることがわかりました。白い雪のように咲いているナンジャモンジャの木は、深大寺、東京都薬用植物園、そして、近くの公園と身近に見ることが出来ました。

この木のことを調べてみると、水戸黄門こと水戸光圀と、いま朝ドラの主人公にもなっている牧野富太郎とも関わりがあることがわかりました。

1.ナンジャモンジャの木(ヒトツバタゴ)

ナンジャモンジャの木というのは、ヒトツバタゴを指すことが多い。ここ最近に見たナンジャモンジャ(ヒトツバタゴ)を場所別にあげてみる。

(1)深大寺とその参道

深大寺の本堂の横に大きなナンジャモンジャの木があり、白い雪を被ったようにたくさんの花を付けていた。深大寺の参道の茶店前にもあった。

(「東京異空間105:深大寺の不思議?」2023/04/25

深大寺境内のナンジャモンジャ




深大寺参道のナンジャモンジャの木

深大寺参道のナンジャモンジャの木


(2)東京都薬用植物園

薬用植物園では、ヒトツバタゴが、日本では限定的な地域でしか自生しておらず、絶滅危惧種に指定されているのを知った。

(「東京異空間106:植物の生存戦略・毒と薬~東京都薬用植物園」2023/05/02

東京都薬用植物園のナンジャモンジャの木(ヒトツバタゴ)





(3)近くの公園

散歩で通る近くの公園にも、ナンジャモンジャの木(ヒトツバタゴ)があることを知った。それまでは、なんの木だろうか、と思っていたが、花を見て、深大寺などで見たナンジャモンジャと同じ花だと分かった。

近くの公園のナンジャモンジャの木







花は5月には終わっていた


ナンジャモンジャの木陰


2.ナンジャモンジャの名の由来~水戸黄門

ナンジャモンジャの名の由来は、その地域では見かけない種類の樹木に付けられたという説のほか、民俗学的には、占いや神事に利用されていたもので、植物名を直接呼ぶことが憚れたとみる説があるという。

いずれにして、水戸黄門と結びつけられることが多く、神木の前を通りかかった水戸黄門が「この木はなんじゃ」と問うたところ、地元の人が聞き取れず「なんじゃもんじゃ」と返答して、木の名だと勘違いして広まったという話がある。また、水戸光圀が、時の将軍に聞かれて、とっさに「なんじゃもんじゃ」と答えたという話もあるという。

なぜ、この見慣れない木を「なんじゃもんじゃ」として、水戸黄門と結びつけたのだろうか。はっきりしたことはわからないが、水戸黄門といえば、全国を旅することから、各地で見慣れない木を見て、この木は、と問うた話が結びついたのではないだろうか。

3.ナンジャモンジャの真物と偽物~牧野富太郎

いま放送されている朝ドラ「らんまん」の主人公となっている牧野富太郎(ドラマでは槙野万太郎)は、随筆「ナンジャモンジャの真物と偽物」のなかで、次のように「らんまん」な語り口で述べている。

「ナンジャモンジャとはどんなもんじゃ、それはこんなもんじゃと持ちだされるものが幾つもある。 ナンジャモンジャの名では得体の知れぬもののように見えるが、決してそんなもんじゃなくどれもがひとかどのある樹木である。しからばすなわちそのいくつかの樹木が皆ナンジャモンジャかな。そうそれに正真正銘のナンジャモンジャもあれば、また喰わせものの贋のナンジャモンジャもあって、真贋あえて一様ではない。」として、次々に、贋のナンジャモンジャをあげていく。

まず第一に、贋のナンジャモンジャは、東京青山の練兵場にあったもので、本名をヒトツバタゴという

第二の贋のナンジャモンジャは、常陸の筑波山にある。これはアブラチャン(クスノキ科)という落葉灌木

第三の贋のナンジャモンジャは、ヤブニッケイの一変種であるウスバヤブニックケイという木小石川植物園にあったが、いま生存しているか。

第四の贋のナンジャモンジャは紀伊の国の那智の入り口にあるといわれている。これは、シマクロキともいわれ、ネズミモチに似た木だ。

第五の贋のナンジャモンジャは、カツラである。この木は伊豆の国、三島町の三島神社境内にある。

第六の贋のナンジャモンジャは、イヌザクラである。この木は、武蔵の国、比企郡松山町(現・埼玉県東松山市)箭弓街道ぎわの畠中にある。

第七の贋のナンジャモンジャは、バクチノキだ。

では、本物のナンジャモンジャは一体、どこにあるのじゃ。それは大利根の流れにのぞむ神崎の神社にあるという。

「この神社の庭に、昔から名高い正真のナンジャモンジャの樹が立ってござる。・・・さてこのナンジャモンジャの正体は元来なんであるかというと、それは疑いもなくクスノキである。・・・ 口碑に伝うるところでは、このナンジャモンジャの名は水戸の黄門公がおつけになったのだといわれている。してみるとその名のできたのはそう古くはなく、徳川四代将軍家綱の時代で今からざっと二百七、八十年も前のことであろう。 」

と述べており、神崎神社のクスノキが真物のナンジャモンジャであると、しかも水戸黄門公が名付けたとする。ちなみに、ここに登場した「本物のナンジャモンジャの木」、いまも千葉県香取郡神崎町(こうざきまち)の神崎神社にあって、「神崎の大クス」として国の天然記念物に指定されている。

参考

『牧野植物随筆』牧野富太郎 講談社学術文庫 2002年(1947年に鎌倉書房から刊行された書を文庫化したもの)

花の終わったナンジャモンジャ

朝ドラ「らんまん」は視聴率もいいようです。練馬区には牧野記念庭園があり、何度か訪れたことがありますが、この庭園にはナンジャモンジャの木はなかったように思います。牧野博士は、生涯に1500種もの植物の新種を発見、命名しているといいます。

(拙ブログ:「牧野記念庭園」2021/03/31)

ナンジャモンジャの木をきっかけに、植物の名前に由来する話も水戸黄門に結びつけられたり、色々楽しいものです。

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