「明日の神話」 |
松濤美術館から渋谷駅に戻ると、京王井の頭線とJRを結ぶ連絡通路の途中に岡本太郎の「明日の神話」があります。
人通りも多く、これまで、じっくりと観る機会もありませんでしたが、足を止めてしっかり観てきました。
1.岡本太郎「明日の神話」
岡本太郎(1911-1996)といえば、大阪万博の会場につくられた「太陽の塔」で、誰もが知っている。その「太陽の塔」と対をなす最高傑作がこの「明日の神話」である。
この作品は、第五福竜丸が被爆した際の水爆の炸裂をモチーフにしている。第五福竜丸は、1954年にアメリカ軍がビキニ環礁で行った水爆実験により被爆したマグロ漁船である。
岡本太郎は作品の意図について、「原爆が爆発し世界は混乱するが、人間はその災いと運命を乗り越え、未来を切り開いて行く―といった気持ちを表現した」と言っている。
この作品は、メキシコで製作され、長らく行方がわからなくなっていたが、2003年に発見され、修復を経て、2008年から渋谷マークシティ内の連絡通路に恒久設置された。 壁画は、長さ30メートル、高さ5.5メートルの大きさで、板に一部コンクリートを盛りつけてアクリル系塗料で描かれている。しかし、渋谷に設置されてから、15年が経過し、想定以上に傷みが進行しているということから、今年10月から複数年をかけて大規模な改修・修復を実施するとになっている。
岡本太郎の養女で秘書を務めた岡本敏子(1926-2005)は、この「明日の神話」について次のようなメッセージを残している。
「二十一世紀は行方の見えない不安定な時代だ。テロ、報復、果てしない殺戮、核拡散、ウィルスは不気味にひろがり、地球は回復不能な破滅の道につき進んでいるように見える。こういう時代に、この絵が発するメッセージは強く、鋭い。
負けないぞ。絵全体が高らかに哄笑し、誇り高く炸裂している。」
このメッセージは強く胸に響く。
2.渋谷
渋谷は、駅前に忠犬ハチ公の像、そしてスクランブル交差点と多くの人が集まり、話題となる場所である。とくに、若者の街、若者文化の流行の発信地としても知られている。今は100年に一度という大規模な再開発が行われ、街の姿はどんどん変わっていっている。
そうした渋谷が、『明日の神話』の不思議な力が街を行き交う一人ひとりに、未来へ向かうエネルギーとなって戻ってくる場所として設置されたという。
参考:
岡本太郎記念館H.P
https://taro-okamoto.or.jp/asunoshinwa/
スクランブル交差点 |
ファッションビル「SHIBUYA109」 |
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