2024年11月24日日曜日

東京異空間250:美術展を巡るⅧ~カナレットとヴェネツィアの輝き@SOMPO美術館

 


SOMPO美術館で開催されている「 カナレットとヴェネツィアの輝き」展(2024.12.28まで)に行ってきました。

2018年にヴェネツィアを訪れていますので、その時の景色を重ね合わせてみることが出来ました。

1.カナレット(1697-1768)

1697年、ヴェネツィアに生まれる。1719年、舞台美術家である父に伴いローマへ赴き、そこでこの地の景観画家とも知り合ったと言われている。1720年の頃にはヴェネツィアで画家としての活動を始めていた。ヴェネツィアの陽光きらめく都市景観を鮮やかに描き出した景観画「ヴェドゥータ」で名を馳せ、とりわけ英国のパトロンに恵まれて英国人*グランド・ツアー客に競って求められた。1746年からは英国に長期滞在し、現地ロンドンの景観も描いている。1768年、ヴェネツィアで没した。

「ヴェドゥータとは、都市の景観をきわめて精密かつ大規模に描いた絵画または印刷物。

*「グランド・ツアー」とは、17世紀初頭から19世紀初頭までイギリスの裕福な貴族の子弟が、その学業の終了時に行った大規模な国外旅行文化先進国のフランスとイタリアが主な目的地で、主要都市の文化や上流社会を体験する機会となっていた

カナレットによるヴェドゥータは、「グランド・ツアー」でイタリアを訪れた英国の上流階級が旅の記念としてこぞって求めたいわば「名所絵」。カナレットは、精密な透視図法を用いて緻密に描かれた街並み、写真のように描いていることから、カメラ・オブスクーラを使って下書きをしていたという説がある否定する意見もある)。

カナレットとヴィゼンティーニの 肖像  

左がカナレット

カナレットの肖像

2.ヴェネツィア

カナレットは、見たままの風景をそのまま描くのではなく、名所である建物を必要に応じて組み合わせたりして、グランドツァーの客が望む景観を巧みに描いた。

2018年にヴェネツィアを訪れていて、この展示されているヴェネツィアの ヴェドゥータを見て、懐かしく思い出された。その時に撮った写真とあわせてみて、プチ・グランドツアー気分に。

カナレット《サン・ヴィオ広場から見たカナル・グランデ》 






カナレット《サン・マルコ広場》 



 

サン・マルコ広場(2018年撮影)


カナレット《カナル・グランデのレガッタ》








カナレット《昇天祭、モーロ河岸のブチントー ロ》 






カナレット《昇天祭、モーロ河岸のブチントー ロ》



モーロ河岸からサン・マルコ広場(2018年撮影)


カナレット《サン・マルコ広場でのコメディ ア・デラルテの上演》  




カナレット《サン・マルコ大聖堂の内部》 




ミケーレ・マリエスキ 《リアルト橋




ウィリアム・ミラー 《ヴェネツィア、ピアツェッタ》 




     聖マルコを象徴する有翼の獅子像と聖テオドロスの像を戴く柱(2018年撮影)


ウィリアム・エティ 《溜息橋》 




溜池橋(2018年撮影)

クロード・モネ 《サルーテ運河》 





ポール・シニャック 《ヴェニス,サルーテ教会》  







サン・マルコ広場前(2018年撮影)

サルーテ聖堂(2018年撮影)


3.ローマ

カナレットは、1719年に父に伴いローマを訪れているが、それ以降、ローマに行ったかどうかは確かではないという。このローマのヴェドゥータは当時の版画を参照して描かれたとされる。

カナレット《ローマ、パラッツォ・デル・クイ リナーレの広場》  






カナレット《ナヴォナ広場の景観》 





4.イギリス・ロンドン

グランド・ツアーがオーストリア継承戦争(1740-1748)により打撃を受けたため、カナレットは一時帰国を含め1755年までイギリスに長期滞在し制作活動をした。

ヴェネツィアのカナル・グランデをテムズ川に置き換え、1750年に完成したばかりのウェストミンスター橋を描いている。

カナレット《ロンドン、テムズ川、サマセッ ト・ハウスのテラスからロンドン のザ・シティを遠望する》 





カナレット《ロンドン、北側からウェストミン スター橋を望む、金細工師組合マ スターの行進》  



カナレット《ロンドン、ヴォクスホール・ガー デンズの大歩道》 





カナレット《ロンドン、ラネラーのロトンダ内部》  




カナレット《ドーロ風景》 



カナレット《ドーロ風景》  




カナレット《河岸の眺め》  




レフレックス・カメラ・オブス キュラ  ロンドン、ジョーンズ製  







カナレットの作品がまとまって日本に紹介されるのは、この展覧会が初めてだそうです。作品の一部を除き、多くが写真撮影可というのもうれしい展覧会でした。






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