2024年2月25日日曜日

東京異空間184:練馬区立美術館の動物たち

 

美術の森緑地<クマ >

古賀忠雄展@練馬区立美術館を観てきましたが、美術館の前は、たくさんの動物たちのオブジェが置かれた広場になっています。子供たちの遊び場になっていますが、癒しの場でもあります。

また、美術館では、古賀忠雄展以外にも、地元高校生の卒業制作の作品展が開かれていました。

1.美術の森にある動物たち

美術館の前の広場は「美術の森緑地」と名付けられ、多くの動物たちのオブジェが置かれている。古賀の作品にも、猫、ウサギ、鳩などの動物の塑像が展示されていた。

美術史において、動物の絵画は、有名な「鳥獣戯画」や「涅槃図」などに色々な動物が描かれ、江戸時代には、伊藤若冲の「動植綵絵」に多くの動物が色彩豊かに描かれている。しかし、動物の彫刻となると、思いつくのは、「鳥獣戯画」を所蔵している京都・高山寺にある「狗」の置物、仏像の白象にのる普賢菩薩、春日大社の神鹿など、それほど多くはない。近代では、高村光雲の<老猿>、その息子・高村光太郎の<鯰>などが知られている。さらに、現代になると、奈良美智の<あおもり犬>、三沢厚彦の<ANIMAL >シリーズ(2023年に千葉市美術館で企画展)などがある。

高山寺「狗」


高村光雲<老猿>


高村光太郎<鯰>

奈良美智<あおもり犬>

この広場に置かれている動物たちは、子供たちに親しみのある動物たちで、動物たちの表情も豊かにつくられている。優しい目をもつゾウ、ライオンなどは、先に述べた現代の作家の作風にも通じるものがある。

これら32体あるという動物たちを造られている材料によって分けてみる。

(1)植栽彫刻

入り口には、「タマリュウ」という植物で作った4メートルの<クマ >、もう一つの入り口には<ネリマーマ>という練馬大根をモチーフにしているウマの親子。

<クマ >

<ネリマーマ>

(2)ブロンズ

優しいを目をした<ライオン>、みんなが触ってつやつやの手になっている<ゴリラ>、ほほを寄せ合うカップルの<ネコ>。美術館の前には球体<うつるもの>が置かれていて自分の姿がなが~く伸びて映る。

<ライオン>

<ゴリラ>

<ネコ>

<うつるもの>

<うつるもの>

(3)ステンレス

階段の両脇には大きな<トンボ>、青空に舞い上がるようだ。

<トンボ>

<トンボ>

<トンボ>


(4)強化プラスティック(FRP)

大きく、カラフルな<キリン>、真っ白な<ゾウ>、口を大きく開けたような不思議な<キノコ>、二本の柱の上にいる<手長ザル>、三匹並んだ可愛い<ペンギン>、地面に伏せた4匹の<イヌ>ウィンクしている犬も、赤と青の大きな甲羅を持つ<カメ>、草むらから飛び出してきそうな<カエル>、これもやさしそうな<トラ>、カラフルな<トカゲ>、練馬美術館のロゴからつくられたというマスコット<ネリビー>。

<キリン>

<ゾウ>

<キノコ>

<手長ザル>

<ペンギン>

<イヌ>

<カメ>


<カエル>

<トラ>

<トカゲ>

<ネリビー>

<ネリビー>

2.高校生の美術作品

美術館の3階フロアでは、高校生の卒業制作の作品展が開かれていた。最初のコーナーには、ほとんどアニメのキャラクターのような絵画が多く並んでいた。今やアニメやマンガが美術に反映されている、というより、それが美術作品となっているのかと思った。しかし、次のような絵画を観て、あらためて驚きを感じた。<カメレオン>と<カラス>のリアルな写実絵画。カメレオンのうろこ、カラスの目のリアルさにひきつけられた。千葉市にある「ホキ美術館」には<超>写実的な絵画が展示されているが、こうした動物の超写実絵画が、高校生によって描かれているのに驚嘆した。またもうひとつ<極~白鳥の湖~>と題されていた作品は、白鳥の湖の舞台を描いたものだろうが、踊るバレリーナ、演奏する楽団、それを包み込むような舞台が、細部にわたり描かれ構図の大きさも見事だと思った。横に描かれた小さな絵は、フェルメール風で、描く画家(ご本人)が可愛らしい。

<カメレオン>

<カラス>

<極~白鳥の湖~>

描く画家

古賀忠雄展を観た後に、美術館前に置かれた動物たちのオブジェに、そして高校生たちの作品に、現代的アートの一端を垣間見るようでした。

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