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パレスサイドビル屋上からの眺望 |
地下鉄東西線の竹橋駅は、毎日新聞社などが入るパレスサイドビルの地下にあります。美術館に行く前に、ここの屋上に上がってみました。屋上は、平日のお昼休み時間帯(11:30~14:00)に開放されていて、このビルで働く人たちの憩いの場となっています。うまくタイミングが合い、初めて屋上に上がることができ、竹橋周辺の桜も一望できました。
竹橋から千鳥ヶ淵の桜を観ながら、ぐるりと廻って九段下に出ました。こちらには九段会館テラスが昨年10月に新しくオープンしました。かつては軍人会館と呼ばれていたビルです。ここからの桜の眺めも素晴らしいものでした。
1.パレスサイドビル
パレスサイドビルは、毎日新聞社などの入るオフィスビルとして、東京オリンピックの2年後、1966年に建築家・林昌二の設計により建てられた。戦後にはリーダーズ・ダイジェストの東京支社が、A・レーモンドの設計により建てられていた。
すでに東京異空間69:パレスサイドビル(2022/7/15)と東京異空間75:二つの美術館(2022/12/17)でもとり上げたが、今回は初めてこのビルの屋上に上がることができた。屋上は、広々としていて、花壇などもつくられ、都会のオアシスのようになっている。ここからは竹橋周辺、皇居、東京国立近代美術館、まわって首都高速、その先には如水会館、学士会館も見える。
屋上に小さな社が建っている。「毎日神社」とある。この神社は、昭和14年(1937)に毎日新聞社が国際親善のため企画した双発機「ニッポン」号が世界一周を達成する安全祈願として創建された。神社は、このビルが建てられた昭和41年(1966)に、ここに祀られた。
もうひとつ、このビルには伝書バトの彫刻が置かれているはずだが。伝書バトは新聞社の原稿を運ぶ手段として使われていたことから、このビルには6羽の伝書バトが置かれている。毎日新聞の記者は「永田町方面を見ているハトもいる。タカを警戒しているのか」というコラムを書いたという。残念ながら、今回は伝書ハトを確認することが出来なかった。次回このビルを訪れた時に確認してみたい。
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屋上から向かいが東京国立近代美術館 |
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屋上から平川門 |
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屋上から首都高の横に如水会館、間の低いのが学士会館 |
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屋上 |
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屋上でのひととき |
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屋上の「毎日神社」 |
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周辺の主要な場所までの距離を示す表示板 |
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金網の階段 |
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パレスサイドビル |
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竹橋・渡ると東京国立近代美術館 |
2.九段会館テラス
戦前は、「軍人会館」と呼ばれたこのビルにもいろいろな歴史が残されている。建物は昭和9年(1934)に、昭和天皇の即位の礼の記念として建てられた。当時は在郷軍人会の本部が置かれ、軍人の訓練、宿泊施設として使われた。昭和11年(1926)に起きた二・二六事件では戒厳司令部が置かれた。戦後は、GHQに接収され「アーミーホール」と呼ばれ進駐軍の宿泊施設として使われた。その後、「九段会館」と改称してレストラン、結婚式場として、またコンサートにも使われ、サザンオールスターズは1978年にここでデビューしたという。
平成23年(2011)の東日本大震災により大きな被害を受け、休館、廃業に追い込まれた。そして、昨年2022年10月に古い建物の一部を保存し、新たなビルを建て「九段会館テラス」という名称で再開した。
「軍人会館」としての建物の設計は、コンペにより小野武雄が一等賞となり、技術顧問に伊東忠太を充てて建設された。コンクリート造りに瓦葺の屋根を載せる「帝冠様式」と呼ばれる建築様式の建物であった。ほかに帝冠様式の代表的な建築としては、上野・東京国立博物館の本館がある。伊東忠太らによって推進された日本趣味の建築様式で、当時のモダニズム様式の建築家からは反発があった。
こうした歴史を持つ建物の一部を保存し、高層のモダンなビルと共存させて「九段会館テラス」として建て直された。まさにモダン様式と帝冠様式の融合した建物は、歴史のアイロニーともいえる。
九段会館テラスからは、正面に皇居のお濠「牛ケ淵」の桜、武道館、さらには靖国神社の大鳥居、高灯籠、銅像などが見渡せる。
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九段会館テラス・手前が旧の会館、奥の高いのが新ビル |
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旧建物を残した入口 |
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お濠に面した九段会館テラス |
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九段会館テラスの桜 |
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クラシックな内部 |
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ガラス張りのフロア |
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ガラス張りのフロア |
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5階にあるカフェレストラン |
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テラスからの通路 |
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ガラスに映るお濠の桜 |
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武道館 |
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牛ケ淵の桜 |
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九段の高灯籠 |
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高灯籠の横に銅像・品川弥次郎像 |
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夕暮れに |
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夕暮れに、飛行機も |
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夕暮れの桜 |
パレスサイドビルの屋上から、皇居、美術館、首都高、如水会館などをぐるりと見渡し、屋上にある小さな社に参拝しました。パレスサイドビルから東京国立近代美術館を観て、さらに千鳥ヶ淵をまわり、九段下の九段会館テラスに入りました。どこを見ても、桜、さくら、サクラ。しかし、それぞれのビルには深い歴史刻んでいました。桜とともに、時間の異空間も楽しむことができました。
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