三重塔と那智大滝 |
青岸渡寺の本堂の先から開けたところに出ると、三重塔の横に那智大滝を遠望することができる。高さ133メートルの瀑布、滝口から三筋に分かれ、ほぼ垂直に流れ落ちる滝の姿は力強さとともに優美さがある。飛沫に光が当たり虹が出て輝いていた。古代人でなくとも、まさに神の姿と思う。
那智大滝の光景は、国宝「那智瀧図」(根津美術館蔵)に写し取られている。この絵は、御神体の滝という自然を描いた唯一の垂迹画とされ、この地を詣でた亀山上皇が御幸から戻り、京の御所にいながらにして那智瀧を礼拝するために描かせたのではないかと推測されている。
また、近年では、杉本博司が、この絵の原風景である那智大滝を訪れ、自然の神々しさを写し撮っている。(その撮影姿を日曜美術館で放送)
鎌倉積みといわれる石段・ここで那智の火祭りが行われる |
亀山天皇の碑(写し) |
三重塔に登ってから、滝本に向かって下っていくと、那智大社の別宮、飛瀧神社(ひろうじんじゃ)の入口に至る。さらに鎌倉積みといわれる石段を下っていくと、滝の水音が大きく響いてくる。
この石段の参道を12本の大松明が上っていくのが、勇壮な那智の火祭りである。
また、石段の途中に「太上天皇恒仁御宸翰木碑」がある。これは、亀山天皇が弘安4年(1281年・元寇のあった年)に、ここに詣でたときに建てられた碑(写し)だという。先の「那智瀧図」を描かせたのは、そのあとだろうか?
飛瀧神社は、大滝を神として祀ることから、社殿はなく、滝壺の前に遥拝所が置かれている。そこから滝を仰ぎ見ると、流れ落ちてくる飛沫が霧のように降りかかり、心が洗われるよう。水は生命の源。那智山は、那智大社が滝口を、飛瀧神社が滝本を守る、天と地の気を守る聖地であり、生命のよみがえりを感じるようなところでした。
今回の旅で、一番の写真スポットと思っていた所が那智大滝です。そのため枚数も多くなりましたが、モノクロで処理してみた写真もアップしておきます。
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