熊野三山は、それぞれ八咫烏(やたがらす)がシンボルとなっている。同じ八咫烏でも、三社で少しづつデザインが異なる。
八咫烏は、日本神話に登場するカラスであり、神の使い、神の化身として、神武東征の際、天皇を熊野国から大和国へと先導したとされる。
八咫烏の「八咫」とは大きく広いという意味だとされ、八咫烏の三本の足はそれぞれ天・地・人を表し、神と自然と人が、同じ太陽から生まれた兄弟であることを示すという。
日本サッカー協会がシンボル・マークとして、この八咫烏を使っており、日本代表サッカー選手たちも必勝祈願に参拝されているという。
八咫烏(本宮大社) |
八咫烏(速玉大社) |
八咫烏(那智大社) |
八咫烏(那智大社) |
八咫烏(世界遺産観光センターにて) |
サッカーボールを持つ八咫烏(大門坂にて) |
芦雪の描く八咫烏?(無量寺にて) |
八咫烏は熊野三山の守り神となり、護符である牛王宝印(ごおうほういん)にもその姿が描かれるようになった。この牛王宝印の図柄も、三社でそれぞれ少しづつ異なっている。
牛王宝印は、一般の護符(お守り)として用いられるとともに、中世以降には武士の起請文を記す用紙にも使われるようになった。牛王宝印の裏面に起請文を書くと、誓約の内容を熊野権現に対して誓ったことになり、誓約を破ると熊野権現の使いであるカラスが一羽(一説に三羽)死に、約束を破った本人も血を吐いて死に、地獄に落ちると信じられた。
戦国時代には、豊臣秀吉が臨終に際して、徳川家康をはじめとする五大老らに起請文を書かせ、豊臣秀頼に対する忠誠を誓わせたというように、その呪力が信じられた。
江戸時代には、遊女が御贔屓の客を離さないようにするため、年季が明けたら夫婦になる、という誓いをこの牛王宝印に書いたことが流行ったという。「三枚起請」という上方落語は、遊女が三人の男に、同じ起請文を書いたという話で、そのオチは、男の性(さが)をひねったもので、最後に笑わせる。
近年では、郵政民営化反対の国会議員が、この牛王宝印に血判し、団結を誓い民営化阻止の運動を展開していたという。
牛王宝印(速玉大社) |
八咫烏が、日本サッカーのシンボルマークに、また牛王宝印が、郵政民営化反対の血判として、使われていたということからも、熊野信仰が、今も日本人の心の中にあることを、改めて知ることができました。
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