2020年3月18日水曜日

よみがえりの地 11~八咫烏と牛王宝印

熊野三山は、それぞれ八咫烏(やたがらす)がシンボルとなっている。同じ八咫烏でも、三社で少しづつデザインが異なる。
 
八咫烏(那智大社)
八咫烏は、日本神話に登場するカラスであり、神の使い、神の化身として、神武東征の際、天皇を熊野国から大和国へと先導したとされる。
八咫烏の「八咫」とは大きく広いという意味だとされ、八咫烏の三本の足はそれぞれ天・地・人を表し、神と自然と人が、同じ太陽から生まれた兄弟であることを示すという。
日本サッカー協会がシンボル・マークとして、この八咫烏を使っており、日本代表サッカー選手たちも必勝祈願参拝されているという。
 
八咫烏(本宮大社・大斎原の鳥居)

八咫烏(本宮大社)

八咫烏(速玉大社)

八咫烏(那智大社)

八咫烏(那智大社)

八咫烏(世界遺産観光センターにて)


サッカーボールを持つ八咫烏(大門坂にて)


芦雪の描く八咫烏?(無量寺にて)

八咫烏は熊野三山の守り神となり、護符である牛王宝印(ごおうほういん)にもその姿が描かれるようになった。この牛王宝印の図柄も、三社でそれぞれ少しづつ異なっている。
牛王宝印は、一般の護符(お守り)として用いられるとともに、中世以降には武士の起請文を記す用紙にも使われるようになった。牛王宝印の裏面に起請文を書くと誓約の内容を熊野権現に対して誓ったことになり、誓約を破ると熊野権現の使いであるカラスが一羽(一説に三羽)死に、約束を破った本人も血を吐いて死に、地獄に落ちると信じられた
戦国時代には、豊臣秀吉が臨終に際して、徳川家康をはじめとする五大老らに起請文を書かせ、豊臣秀頼に対する忠誠を誓わせたというように、その呪力が信じられた。
江戸時代には、遊女が御贔屓の客を離さないようにするため、年季が明けたら夫婦になる、という誓いをこの牛王宝印に書いたことが流行ったという。「三枚起請」という上方落語は、遊女が三人の男に、同じ起請文を書いたという話で、そのオチは、男の性(さが)をひねったもので、最後に笑わせる。
近年では、郵政民営化反対の国会議員が、この牛王宝印に血判し、団結を誓い民営化阻止の運動を展開していたという。
牛王宝印(速玉大社)


八咫烏が、日本サッカーのシンボルマークに、また牛王宝印が、郵政民営化反対の血判として、使われていたということからも、熊野信仰が、今も日本人の心の中にあることを、改めて知ることができました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京異空間249:明治神宮御苑を歩く

  明治神宮 明治神宮へは参拝に訪れることはありますが、明治神宮御苑には入ったことがありませんでした。 10 月下旬に訪れました。 (参照): 東京異空間 81 :明治神宮 ( 内苑)と神宮外苑Ⅰ ( 2023.3.19 ) 東京異空間 171: 明治神宮外苑はいかにして造ら...

人気の投稿